芥川賞受賞作。それだけなら手に取らなかったかもしれないのだが、作者は倉本聰さんの富良野塾の二期生でその頃のことを描いたという、これは読みたい。で、読んで、すごく驚いた。おもしろい!おもしろ過ぎる。エピソード云々ではなく、小説として抜群におもしろい。あらためて、芥川賞パチパチパチ!
物語の中で塾のことは【谷】、倉本さんのことは【先生】となぜか【】付きで書かれている。主人公の名はスミトだ。さて、【谷】に着いて最初の授業、一期生との顔合わせ。先輩である彼らは二期生の言動にゲラゲラゲラゲラ笑う。おかしくないのに…困惑するスミトたち。【先生】は言う。「新鮮なんだよ一期のみんなは君たちが」「新鮮で仕方がない。ずっとこの人数でここにいたからね」、(中略)「それが、笑う、というかたちでああして出ちゃった」、一期生は本当に何もない所から塾を作りあげてきた。1年経ってやっと後輩たちがやって来たのだ。うううむ、何だかスゴい話だな。この話で心を鷲掴みにされる。
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