また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【文学賞】第30回三島賞・山本賞、決定!!!

 決まりましたっ!「文学の前途を拓く新鋭の作品」に贈られる三島由紀夫賞はこちら!

 

 そうかぁ、宮内さんかぁ。パチパチパチ!未読です。気になるけどなぁ。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2017.5/3週)

  さてさて、出る本。ヨシタケシンスケ「つまんない つまんない」(5/17)出ます。これは「MOE」の4月号に小冊子サイズの付録として付いていたものですが、大型本としての発売にです。アマゾンの紹介文がいいぞ。

 

大人気絵本作家、ヨシタケシンスケが子どもに贈る
最高に面白くて「つまんない」絵本!

 

 それにしてもヨシタケシンスケブームはすごいなぁ。うちの駅ビルの本屋さんでも特集コーナーを設けてます。未読の人は「りんごかもしれない」あたりからぜひどうぞ!

 

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【BOOK NEWS】明日、日曜日の「題名のない音楽会」は「村上春樹文学の音楽会」!

 毎週日曜日の9時からテレビ朝日系列で放送されている「題名のない音楽会」、明日(5月14日)のテーマは「村上春樹文学の音楽会」!ホームページの紹介文を引用してみますね。

 

世界が注目する作家・村上春樹の小説にはクラシック音楽が多数登場します。今回は、村上文学を入り口にクラシック音楽のすばらしさ、そして年月が経っても色あせない古典の素晴らしさを堪能していただきます。どうぞお楽しみに!

 

 「題名のない音楽会」、そういえばしばらく見てないなぁ。今回はちょっと興味があるので録画して見ようと思っています。放送予定曲は次の通り。

 

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【絵本】「ほぼ日」で始まってます!ヨシタケシンスケ✕糸井重里対談

 

 さて、この対談は上の雑誌「MOE」の4月号にも掲載されているのですがほぼ日の連載は「ほぼ日編集バージョン」で冒頭から違っています。さらに、全9回と長いので、雑誌未収録分も載るのではないかなぁ、そんな期待も大です。とにかく、この対談はおもしろかったですよ。ヨシタケさんの創作のヒミツがいろいろわかっちゃいます。というか、ヨシタケさん、おもしろいっ!糸井さんとの共通点もなかなかです。

 

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【書評】佐藤正午「月の満ち欠け」-月の満ち欠けのように繰り返すことで、その愛は「永遠」へと近づいていく

 一気読みできればたぶんその必要はないのだけどそうもいかず、物語の後半で「人物相関図」を作ってしまった。あの人がこの人とあーなって、こーなって…ううむ、なるほどなるほど。

 

 しかし、この物語、他の作家がYA(ヤングアダルト)みたいな感じで書けないこともない。でもそんなものはたぶんケケケッと笑い飛ばしちゃうだろう。佐藤正午が書いたからこそ「物語」として成立するわけで、そこがこの作家のスゴいところだ。佐藤正午が書く小説は、他と何が違うのか。それは常に薄いベールのように「謎」に覆われていること。そして、最後にきっちりとストーリーではなく「人間」へと収斂していくこと。構成、キャラクター、文章力、すべてを結集して作り上げるその物語の見事さ!

 

 で、どんな物語?う〜む、これは書けないなぁ。要約さえ難しい。それを知ってしまったらこの小説を読む愉しさの半分は失われてしまう。まぁ、岩波書店も帯の裏で盛大にネタバレやってますけどね。書店のPOPはさらに酷く…。いいのかなぁ、つまんないなぁ。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2017.5/2週)

 さてさて、出る本。奥田英朗、窪美澄、荻原浩、原田マハ、中江有里の恋愛ストーリーを集めたアンソロジー「恋愛仮免中」(5/10)が文春文庫から出ます。まぁ、執筆陣は豪華。でも、恋愛というくくりはアンソロジーとして弱いんじゃないかなぁ。

 

 もう1冊、文庫。津村記久子「エヴリシング・フロウズ」(5/10)がこれも文春文庫から。読んだけど、いいですよぉ。自分にあまり自信が持てない中3生の話。人物の造形がなかなかです。おすすめ!僕の書評も読んでみてください。

 


 

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【書評】村上春樹「騎士団長殺し」-こういう着地点が村上春樹ワールドにあるなんて!

 このラストにはちょっと驚いた。あまり書いてしまうのはネタバレになるからやめたいのだけれど、こういう着地点が村上春樹ワールドにあるなんて!それが3.11の直後のこととして描かれているのにも大きな意味があると思う。  

 

 肖像画家である主人公の「私」は妻から理由もないままに離婚を言い渡され、それを受け入れるが、そのことで深く傷ついている。そして、小田原郊外の山頂の家で一人暮らすことになるのだが、孤独と共にあることで自らを律している、そんな感じがする。この物語の鍵を握っている2人の人物、谷間を隔てた山頂に住む隣人の免色というちょっと変わった男も、絵画教室で出会い彼の絵のモデルになる秋川まりえという物静かな少女も同じく孤独と共にある。

 

 スバルフォレスターの男、天井裏の日本画、夜中の鈴の音、閉ざされた石室、死んだ妹、突如顕れる騎士団長、ナチ高官の暗殺未遂事件などなど、物語自体すこぶるおもしろく、村上春樹の比喩もまた冴え渡る。

 

 最終的に主人公は騎士団長にいざなわれるように、異界に入り苦難の末にそこを抜けだす。彼は彼自身のためではなく他の人間のために何やらわからない世界に身を投じたのだ。その結果として、心の傷は癒やされ、孤独とは一番離れた場所にたどり着く。

 

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