また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【文学賞】第157回(平成29年上半期)芥川賞は沼田真佑さん、直木賞は佐藤正午さんに決定!

 決定しました!芥川賞は沼田真佑(しんすけ)さんの「影裏(えいり)」、そして、直木賞は佐藤正午さんの「月の満ち欠け」でした。

   

 沼田さん、ノーマークでした。すみません。文學界新人賞受賞作ですね。単行本化はまだされてないようです。読みたい人は上の「文學界」5月号で。直木賞、佐藤正午さん、やったぁ!あまりにも遅すぎる受賞ですが、還暦過ぎてのご褒美でこれからさらにさらにおもしろい小説を書いてもらえそう。とにもかくにも、お2人にパチパチパチ!

 

○佐藤正午「月の満ち欠け」の書評はこちら。 

 

【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2017.7/4週)

  え〜っと、出た本。東山彰良「流」、文庫になりました。直木賞受賞作品です。北方謙三が選考委員の感想で「二十年に一度の傑作」と言って、それが帯にもなってます。書評を前のブログで書いたので転載しますね。

 

◇フツーにおもしろい小説だ。それ以上でも以下でもない。

 

 これはフツーにおもしろい小説である。「二十年に一度の傑作(北方謙三)」でも何でもないし「十五年間で一番幸せな選考会でした(林真理子)」なんて言われても困っちゃう。いくら直木賞受賞の審査コメントだからってここまで言うとは…。皆さんどうかしちゃったんじゃないかしらん。

 舞台は台湾の台北市、1975年の蒋介石の死から物語は始まる。まさに国中を揺るがしたその死の後に、主人公である葉秋生の祖父が何者かによって殺される。第一発見者は17歳の秋生だった。祖父の葉尊麟は、中国本土での内戦に敗れて台湾へと逃れてきた国民党の生き残りで、どうやら本土では悪行の限りを尽くしてきたらしい。そんな祖父の死を心のどこかに引きずりながら秋生はその青春を生きている。

 この物語がいいのは、喧嘩を通して育っていく友情の物語や幼なじみの看護師・毛毛との恋の物語、父や祖父、親戚のおじさん、じいちゃんたちとの交流の物語、そして祖父の死のミステリーが当時の台北そのままに混沌と描かれているところだと思う。この混沌さこそが「流」という物語の大きな魅力だ。そして、それを支えているのは作者の感情表現の巧みさ、ユニークさだろう。「流」は最終的には祖父殺しの犯人探しになり、舞台も中国本土へと移っていく。その大団円の見事なこと!うん。これはフツーにおもしろい小説だ。それ以上でも以下でもない。過大評価は逆に作者を貶めることにならないのか。(2016.1.18記)

 

 というわけで、北方謙三に喧嘩売ってますね、これ。でも、そう思うんだなぁ。おもしろいけどなぁ、そこまで言うか、って僕は思います。

 

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【映像化】本日7月15日夕方、ドラマがスタート!獅子文六原作「悦ちゃん」

 というわけで、今日からです。去年、ちくま文庫から出て人気になった獅子文六の「悦ちゃん」がユースケ・サンタマリア主演でドラマになります。夕方6時5分からNHK総合で、全8回です。どんな話かっていうと、こんな話!

 

さえない作詞家の中年男に突然訪れた、 人生最大の「モテ期」。
・・実はそれは、亡き妻の忘れ形見、10歳のおてんば娘が仕組んだことだった!

 

 このおてんば娘が悦ちゃんなんですね。CMでよく見かける平尾菜々花ちゃんが演じています。他には門脇麦、石田ニコル、安藤玉恵などなど。この時間帯、前の「みをつくし料理帖」もおもしろかったのですが、今回も期待度大。原作も読みたいなぁ。

 

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【絵本/感想】たむらしげる「よるのおと」-青よ!青よ!青よ!青の中に音がある、その幸せよ!

 青よ!青よ!青よ!「よるのおと」の青の美しさよ。それはある夜の出来事。おじいちゃんの家にやって来た男の子が池の側を通って暖かい灯りがともる家にたどり着くまでの短い時間。いなかの町の夜のしじま。でも、耳を澄ましてみると、聞こえてくる、聞こえてくる。リリリリと虫の声が、クワックワッと蛙の声が、鹿たちがパチャパチャと水を飲む音が。さらに遠くにはシュシュッシュシュッと闇を抜けて走る機関車が…。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2017.7/3週)

 出た本。獅子文六「胡椒息子」、出ました。ちくま文庫では7・8・9月と3か月連続で獅子文六作品が刊行されます。「胡椒息子」は彼の作品の中でも一番のイタズラ坊主が主人公。気になる、気になる!

 

 そして、出る本。エッセイスト石黒由紀子と画家&絵本作家ミロコマチコがタッグを組んだ「猫は、うれしかったことしか覚えていない」(7/12)、出ます。アマゾンの内容紹介がいいので、ここに引用してみますね。

 

ありがとう、猫たち。
今を生きることを教えてくれて。
「センパイコウハイ」シリーズのエッセイストと、『ねこまみれ帳』の画家による、くすっと笑えて、しみじみ沁みる、猫のはなし。

【「猫は、うれしかったことしか覚えていない」獣医師から聞いたその言葉は、以後、私の中に生き続けています。猫は、過ぎたことを引きずることなく、うれしかったことだけを積み上げて生きていくのです。(表題エッセイより)】


「センパイコウハイ」シリーズのエッセイスト・石黒由紀子と、『ねこまみれ帳』の画家・ミロコマチコが、文と絵で綴る、可愛くて、くすっと笑えて、しみじみ沁みる、「猫のはなし」。


「猫は、好きをおさえない」「猫は、まっすぐに表す」「猫は、落ち込まない」「猫は、誰かとくらべない」「猫は、考える前に動く」「猫は、命いっぱい生きている」……など、猫が教えてくれる、幸せのコツ。

 

 ううむ、これは読まなくちゃね。ミロコマチコの表紙いいなぁ。

 

◯ミロコマチコの他の本の感想はこちら

 

 

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【映像化】柴崎友香「寝ても覚めても」が東出昌大主演で映画に!

 野間文芸新人賞を受賞した柴崎友香の「寝ても覚めても」の映画化が決まりました。これはちょっと気になるなぁ。主演は東出昌大で一人二役に挑戦。ヒロインは「ソニー損保」のCMで人気の唐田えりか。5時間超の大作「ハッピーアワー」の濱口竜介が監督です。この映画、ロカルノ国際映画祭で主演女優4人が最優秀女優賞を受賞して話題になりましたね。「寝ても覚めても」の原作は読みました。ここに前のブログで書いた書評を再録してみますね。

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【ドラマ】注目の原作本は?2017夏ドラマおすすめはこれ!

 さて、夏ドラマ。見たいドラマは6本。まずは原作あり、から紹介しますね。TBS系火10の渡辺直美主演「カンナさーん!」。話題でしょうねぇ。どんな感じか、やっぱり見ちゃう。同名のコミックが原作です。コミックは全13巻。あぁ、深谷かほるさんって「夜廻り猫」の人だぁ。

 


 フジ系木10「セシルのもくろみ」は真木よう子主演で原作は唯川恵の同名小説です。読者モデルが一流モデルになっていくプロセスを描いた物語。吉瀬美智子、長谷川京子、板谷由夏と共演陣がなかなか。

 

 

 TBS系金10の「ハロー張りネズミ」は弘兼憲史の伝説のコミックが原作。瑛太、深田恭子、蒼井優、リリー・フランキー、山口智子ほかで、「モテキ」などの大根仁がゴールデンタイムのドラマで初脚本、初演出するのが話題。これは期待度高いぞ。

 

 

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