また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【映像化】「この世界の片隅に」、日本映画専門チャンネルで3月にテレビ初放送!「アリーテ姫」なども

 まだまだ映画館での上映も続いている「この世界の片隅に」ですが、日本映画専門チャンネルでテレビ初放送が決まりました。3月18日夜9時からです。21日には片渕監督の他の作品、「アリーテ姫」「マイマイ新子と千年の魔法」と合わせて3作品一挙放送もあります。僕は「この世界の片隅に」はもちろん観ていますが、他の2つは未見なのでとても楽しみにしています。

 

 さて、日本映画専門チャンネルですが、これはスカパーやJ:COMなどのケーブルテレビで観られるチャンネルです。うちはJ:COMに入ってるのですが、ここはよく観ています。WOWOWなんかより早く邦画のテレビ初放送をやったりするし、「あゝ、荒野」の完全版を放送したり、倉本聰や山田太一の昔のドラマをまとめてやったりするので目が離せないのです。詳しくはこちらを見てみてください。

 

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【書評】松家仁之「光の犬」-一族三代の「営み」を見つめ、「生」を語り「死」も語る傑作小説!

 物語は「添島始は消失点を背負っていた」という印象的な一行から始まる。これは北海道東部の架空の町・枝留(えだる)で暮らす添島家の一族三代の物語だ。一番若い世代が始と姉の歩。彼らの父母、眞二郎と登代子。眞二郎の姉の一枝、妹の恵美子と智世。さらに始たちの祖父母である眞蔵とよねが主な登場人物。

 

 とはいってもこの物語、時系列順に語られたりはしない。巧みな構成で時代を変え、主人公を変えながら進んでいく。話によって、それは青春小説であり恋愛小説であり職業小説であり介護小説、老人小説、闘病小説でもある。それぞれが深く凝縮して語られるのでそれを単なる「エピソード」と呼ぶことはできない。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2018.1/5-2/1週)

 さて、出た本。ちくま文庫の「フラナリー・オコナー全短篇 上・下」が復刊されています。もうすぐ公開されるオスカー有力候補の映画「スリー・ビルボード」を読み解く鍵になる代表作「善人はなかなかいない」が上巻に収録されています。映画と本との関係については下のリンク(TBSラジオ「たまむすび」からの収録)「町山智浩『スリー・ビルボード』を語る」を読んでもらうとわかります。フラナリー・オコナーのことが出てくるのは最後の方ですが、町山さんのこの話すごくおもしろいのでぜひぜひ。本も読みたくなりますよ。

 

 

 

 出た本、もう1冊。齋藤圭吾「針と溝 stylus & groove」出ています。これ、レコードの針と溝の写真集なんです。針はともかく溝を接写レンズで撮る、って一体なんなんですかね。誰が買うんでしょ?しかも、これ「本の雑誌社」から出てるんです。うううむ、気になる!詳細はこちら。

 

 

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【映像化】宮部みゆき原作ドラマ「荒神」の放送日は2月17日、NHKBSプレミアムで!

 去年の5月にこのブログで書いた放送決定の記事は見てくれる人が多くて、ドラマに対する関心の高さと宮部さんの人気の高さを実感しました。さて、放送日ですが、年末にすでに発表されていたのです。気がつかなかった。

 

 放送日は2月17日、NHKBSプレミアムで夜9時〜10時50分まで2時間弱のスペシャルドラマです。キャストは主役の朱音が内田有紀、弾正が平岳大、さらに平岡祐太、柳沢慎吾、前田亜季、中本賢、田中要次、加藤雅也、柴俊夫、大地康雄他の出演になります。あの「怪物」がどのように表現されているのかなどなど、このドラマはいろいろと楽しみが多いです。見逃さないようにしないと!放送日前にはまたお知らせしますね。

 

◯詳しくはこちらを


◯2分間の予告動画はこちら(追記2.6)

 

 

◯原作「荒神」の僕の書評はこちら


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【BOOK NEWS】注目!発売中の「美術手帖」2月号は特集「テレビドラマを作る」!!

  「美術手帖」、最近はけっこうおもしろい特集もやってるけど、買うまでにはいたらなかった。しかし、今発売の2月号はテレビドラマ特集!内容もかなり充実しているので、ドラマーの僕としては買わないわけにはいかない。というか、これはもう買っちゃいました。ちょっと高いけどねぇ…。ホームページからドラマ特集部分だけ目次を引用してみますね。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2018.1/4週)

 出た本。ほぼ日から「星空の谷川俊太郎質問箱」出ました。2007年に出た「谷川俊太郎質問箱」に続く第2弾。「ほぼ日」に寄せられた皆さんの質問に谷川さんが答えるというスタイルの本。今回は64の質問に谷川さんがまさに谷川さんらしい回答をしています。巻末には詩人・最果タヒさんのエッセイも!

 

◯詳しくはこちらで

 

 そして、横尾忠則「創造と老年」も出ました。副題に「横尾忠則と9人の生涯現役クリエーターによる対談集」とあります。ううむ、気になる。Amazonの内容紹介を引用してみます。

 

創造は80歳からが俄然おもしろい!

横尾忠則が9人のオーバー80’sに聞いた
生きること・創ること・年を重ねること。

瀬戸内寂聴 遊んじゃうこと。面白がること。
磯崎新   老人意識なんて考えつきもしない。
野見山暁治 いつでも「今」だけ。
細江英公  くよくよしない。自然に構える。
金子兜太  創造の根幹は見えないものを感じること。
李禹煥   世間の声は知れている。大事なのは自分。
佐藤愛子  年を取るってことは、やっぱり必要。
山田洋次  老いは作品に必ず良い影響を与える。
一柳慧   これから80代の本当の挑戦が始まる。

 

 いやいやいや、みんなオーバー80’sなのね。なんだかすごいなぁ、読みたいなぁ。

 

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【コミック/感想】リチャード・マグワイア「HERE」-いったいこれは何?コミック?アート?得体の知れない何か?

 いやぁ、ニューイヤー早々、なんだかすごいものに出会った。いったいこれは何だ?コミック?アート?それとも、得体の知れない「何か」?

 

 「HERE ヒア」とタイトルが小さく入った最初の見開きに描かれているのは、淡いトーンの部屋。暖炉とソファだけが置かれている。ソファの後ろに大きな窓がある。左隅に「2014」という数字。次の見開きもトーンは変わらないが、暖炉の横には大きな本棚が。その前にダンボール箱一つ。窓のシェードが半分ほど下りている。そして「家族へ」の文字。「2014」は変わらない。3つ目の見開きは「1957」、淡いが前の2つとは違った紫を基調にした同じ部屋。3つのソファ、ベビーベッドなどなど。

 

 ここまできたら読んでいないあなたも「ハハーン」と思うだろう。僕も思った。「ハハーン、HEREっていうのはこの部屋のことで、この本は過去に戻ったり、未来に飛んだりしながら部屋の変遷を描くのだろう」って。この予想、半分は当たっているが、半分はとてつもなく外れている。「そんなもんじゃない!」。しかし、この「そんなもんじゃなさ」を言葉にするのが難しい。確かに、過去はBCの30億50万年まで遡っちゃうし、未来はACの2万2千175年にまですっ飛んじゃう。しかし、その「振り幅」が「とんでもなさ」ではないのよ。「1953」の見開きは、同じく部屋の風景ではあるけれど、その中に「1988 」の夫婦のウィンドウがあったり、「1623」の鹿が駆けているウィンドウがある。まるでパソコンのマルチウィンドウみたい!それらの登場人物は何見開きか続けて出てきたり、少し経ってから登場したり。その「イメージの連なり」が何だかすごい。

 

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