また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評・感想、出た本出る本など、本関連の最新ニュースを届けます。

【書評】窪美澄「じっと手を見る」-弱き者へのまっすぐな眼差し!これこそ窪美澄の小説だと強く思う

 7つの物語からなる連作長編。最初の話から終わりまでの間に6〜7年の歳月が流れる。舞台は富士山が見える樹海のそばの地方都市。なんでも揃うショッピングモールと弛緩したようなフードコートのある町。主人公の1人日奈はそこで介護士をしている。同じ介護士の海斗と暮らしていた彼女は、自分の気持ちに気づき別れを切り出す。そこに現れるのが東京の編集プロダクションの男、宮澤だ。強く心惹かれる日奈。

 

 中心となるこの3人の男女、けっして愛される人間ではない。男たちは「やわらかく、ふるふるしたものが詰まっている」弱っちい人間だし、日奈も自分の都合だけで男とついたり離れたりしているように思える。日奈と宮沢は富士の見える場所を離れ、新しい町で暮らすようになるのだがそこもまた同じような地方都市、彼らの生活も歳月の中で倦んでゆく。

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【文学賞】第6回河合隼雄物語賞に松家仁之「光の犬」、学芸賞には鶴岡真弓「ケルト 再生の思想」

 このブログでも紹介した松家仁之の「光の犬」が第6回河合隼雄物語賞を受賞しました。パチパチパチ!選考委員は、上橋菜穂子、小川洋子、後藤正治、中島京子。このメンバーの選考で選ばれたらうれしいよなぁ。僕の中でもこの小説は今年読んだ中でのベスト。詳しくは下の書評を読んで欲しいのですが、北海道に住むある家族三代の物語。松家さんは静謐な文章で彼らの営みを、そして、それに連なる死を綴っています。これ、多くの人に読んで欲しいなぁ。

 

 

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【BOOK NEWS】朝日新聞連載の吉田修一「国宝」、本日最終回!ラストがすごい。単行本は9月7日発売

 終わりました、全500回。生まれて初めて新聞小説を最初から最後まで読みました。吉田修一の小説が好きだったこと、歌舞伎の話だったことが大きな理由なのですが、文体にしてもテーマにしての吉田さんの新たな挑戦という感じだったので、最後まで読めたのではないかなぁ、と思っています。

 

 新聞小説は宮部みゆきのものなど何度か読もうとして挫折してるのだけど、一因としては単行本化までにかなり加筆されるので、またそれを読まなくちゃならない。それなら完成形を読みたい、って思うのです。今回もそれはあったけれど、なぜか止められなかったなぁ。

 

 「国宝」は、長崎の極道の家に生まれた主人公が歌舞伎の人間国宝にまで上り詰める紆余曲折、波乱万丈の生涯を「〜でございます」など独特の文体で描いた長い長い物語です。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2018.5/5-6/1週)

 さて、出た雑誌。「芸術新潮」の最新号、特集は「原田マハの、泣ける印象派物語」、アート小説では定評のある原田さんがモネ、マネ、セザンヌ、ゴッホなど7人の画家たちの物語を書き下ろしている。さらに彼女のノルマンディー紀行なども。ちょっと長いけどアマゾンの紹介を引用してみましょう。ううむ、これはぜひ読みたいぞ。

 

◆特集◆
原田マハの、泣ける!印象派物語

貧困、世評、病気……「印象派」誕生の背景には闘いのドラマがあった。
史実をもとに、アート小説の名手が画家たちの物語をオール書き下ろし!

【序】
美しき愚か者たち 文・原田マハ

【第1部 愚か者たちのセブン・ストーリーズ】文・原田マハ
◎モネの物語「何もなかったように モネがまだモネではなかった時代」
◎ベルト・モリゾとマネの物語「このバルコニーから 女流画家の愛と闘い」
◎メアリー・カサットとドガの物語「永遠の一瞬 波乱の時代を超えて」
◎ルノワールの物語「まぶしい季節 手と絵筆の絆」
◎カイユボットの物語「通り雨、天気雨、友へのまなざし」
◎セザンヌの物語「無言のふたり 絵描きとその妻 愛すべき不美人画」
◎ゴッホの物語「星になった画家 フィンセントとテオ 絵画に生きたふたりのゴッホ」

【第2部 ノルマンディー紀行】
マハさんと一緒にセーヌを下り、
モネ・アトラスを旅する

【マンガ 印象派の歴史】
◎やつらの「印象派」前夜
◎「印象派展」全8回のすったもんだ
◎宴の後のそれぞれの道

【展評日本語訳】
「印象派」を生んだ新聞展評はこれだ!
1874年4月25日「シャリヴァリ」紙の「印象派たちの展覧会」全文

 

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【絵本】たむらしげる「よるのおと」、産経児童出版文化賞の大賞を受賞!!青の美しさを見るだけでも価値あり

 ブログに書くのが随分遅くなってしまいましたが、このニュースはうれしかったなぁ。産経児童出版文化賞は今回で65回目を迎える歴史のある賞。受賞作は昨年1年間に刊行された児童向けの新刊の中から選ばれました。

 

 たむらさんのこの絵本は僕も読んだのですが、表紙でもわかる通り、青が基調になっていてとにかく美しい!空の青、夜の青、池の青、空気の青、この青によってタイトルの「よるのおと」が見事に表現されているのです。詳しくは僕の感想を読んでみてください。

 


 素敵な絵本なので、本屋さんや図書館で手に取ってみてくれるとうれしいなぁ。他の受賞作は以下の通りです。

 

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