また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

■か行の作家

【書評】窪美澄「アニバーサリー」-3世代を通して描かれた力強い「女性」史

アニバーサリー posted with ヨメレバ 窪美澄 新潮社 2013年03月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「アニバーサリー」の主人公は娘と祖母ぐらいに年齢差がある2人だ。75歳で未だ現役のマタニティスイミングの指導者である晶子、その元生徒で30…

【書評】角田光代「空の拳」-観客たちの興奮、会場の熱気、ボクシング描写がなんとも素晴らしい

空の拳 posted with ヨメレバ 角田光代 日本経済新聞出版社 2012年10月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 作者の角田光代は輪島功一のボクシングジムに10年も通っているそうだ。そんな彼女のボクシング小説、期待が高まる。まず何といってもい…

【書評】窪美澄「クラウドクラスターを愛する方法」-「家族」を通して自分を見つめる、窪美澄の新作がとてもいい

クラウドクラスターを愛する方法 posted with ヨメレバ 窪美澄 朝日新聞出版 2012年10月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「ふがいない僕は空を見た」の窪美澄の最新作を読んだ。表題作「クラウドクラスターを愛する方法」と短編「キャッチア…

【書評】角田光代「かなたの子」-もののけや魔物が恐ろしいのではない。人間が恐ろしい!

かなたの子 posted with ヨメレバ 角田光代 文藝春秋 2011年12月19日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 角田光代の泉鏡花文学賞受賞にはちょっと驚いた。幅広い分野の書き手であるのは知っていたが、僕が読んだ中には鏡花的な作品はなかったか…

【書評】小林信彦「四重奏 カルテット」-互いが響き合い相乗効果を生み出す4つの物語

四重奏 posted with ヨメレバ 小林信彦 幻戯書房 2012年08月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す すでに世に出ている4つの中編をひとつのテーマでまとめた作品集だ。すべて実名で書かれた「夙川事件」、そして「半巨人の肖像」「隅の老人」「男…

【アンソロジー/書評】窪美澄他「あのころの、」-6人の女性作家が「女子高生」を描いたアンソロジー

あのころの、 posted with ヨメレバ 窪美澄/瀧羽麻子 実業之日本社 2012年04月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 6人の女性作家による「女子高生」をテーマにしたアンソロジー。窪美澄以外は書き下ろしでいきなり文庫での発売だ。このメンバー…

【書評】金原ひとみ「マザーズ」-ただただ圧倒される3人の母親の物語

マザーズ posted with ヨメレバ 金原ひとみ 新潮社 2011年07月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 零歳児一弥の母である主婦の涼子、2歳の女の子輪の母である作家のユカ。そして、3歳になる弥生の母、モデルの五月。「マザーズ」は同じ保育園…

【書評】窪美澄「晴天の迷いクジラ」-リアリティが支える言葉の力

晴天の迷いクジラ posted with ヨメレバ 窪美澄 新潮社 2012年02月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「ふがいない僕は空を見た」の窪美澄待望の新作だ。この物語には3人の男女が登場する。1人はデザイン会社でハードワークを重ねるうちにい…

【映像化】映画「ふがいない僕は空を見た」、主演は?

先日お知らせした「ふがいない僕は空を見た」の映画化ですが、公開は2012年秋になるようです。そうかぁ、まだちょっと先だなぁ。注目の主演ですが永山絢斗と田畑智子に決定。ふむ、なるほど。いいんじゃないでしょうか。さらに期待は高まります。監督はタナ…

【BOOK NEWS】窪美澄、待望の2作目は来年2月発売!!

名作「ふがいない僕は空を見た」の窪美澄の新作が来年2月に出ます。お~ついに!これでまたまた大きな賞を取るんですかね。あの賞とか。いいぞ、いいぞ。この小説の第一章は「yom yom」の前号で発表され、第二章は新発売の「yom yom vol.23」で読むことがで…

【映像化】窪美澄「ふがいない僕は空を見た」映画化だぞっ!

ふがいない僕は空を見た窪 美澄 新潮社 2010-07売り上げランキング : 842Amazonで詳しく見る by G-Tools 去年の僕のベスト1小説、窪美澄の「ふがいない僕は空を見た」がなんとなんと映画になるらしい。まだエキストラ情報ぐらいしかネットでは出てないが、…

【書評】北村薫「鷺と雪」-この大団円のためにすべてがある

鷺と雪 posted with ヨメレバ 北村 薫 文藝春秋 2011年10月07日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 北村薫が直木賞を取ったこの「鷺と雪」はいわゆる「ベッキーさんシリーズ」の第3作で最終章だ。僕は1、2作目を文庫で読んでいたのだが、その…

【書評】川上弘美「神様 2011」-「あのこと」を経験した後の私たちの物語

神様 2011 posted with ヨメレバ 川上 弘美 講談社 2011年09月21日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 川上弘美の話題作であり、問題作。「神様」と「神様 2011」が収録されている。「神様」は1994年にパスカル短篇文学新人賞を取った彼女のデビ…

【書評】小林信彦「流される」-戦後の時代の空気が伝わって来る、自伝三部作最終章

流される posted with ヨメレバ 小林 信彦 文藝春秋 2011年09月16日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「流される」は「東京少年」「日本橋バビロン」に続く小林信彦の自伝的三部作の最終章だ。疎開など敗戦前後を描いた「東京少年」、実家の和…

【BOOK NEWS】「yom yom」最新号、窪美澄「ソラナックスルボックス」を読む

yom yom (ヨムヨム) 2011年 10月号 [雑誌]新潮社 2011-09-27売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools いい。まずは気負いがないのがとてもいい。熱は帯びているけれどヘンな気負いはまったく感じられない。デビュー作「ふがいない僕は空を見た」…

【BOOK NEWS】「yom yom」最新号に窪美澄の新作登場!

yom yom (ヨムヨム) 2011年 10月号 [雑誌]新潮社 2011-09-27売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools 基本的にこの手の雑誌は買わないんです。小説が載ってもあとて単行本化されるでしょ?しかも、けっこう手が入ったりするから元と変わってくる…

【書評】上林暁「聖ヨハネ病院にて」-表題作の夫婦のありようがなんとも愛おしい

聖ヨハネ病院にて・大懺悔 posted with ヨメレバ 上林 暁 講談社 2010年11月10日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 夏葉社から出た「星を撒いた街」を読み、もう少し上林暁を読んでみたいと思った。現状で一番手に入りやすいのがこの講談社文芸…

【書評】川上弘美「天頂より少し下って」-「女性としての人生」がほんわかと垣間見えて来る7編の短篇集

天頂より少し下って posted with ヨメレバ 川上弘美 小学館 2011年05月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 川上弘美の小説は地表から5cmぐらい浮かび上がっている。浮かび上がってはいるが、けっして地表とつながってないわけではない。浮かん…

【書評】上林暁「星を撒いた街」-読めば読むほど味わい深く、読めば読むほどイメージが広がる

星を撒いた街 posted with ヨメレバ 上林暁/山本善行 夏葉社 2011年06月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 私小説作家である上林暁の作品集が「昔日の客」の夏葉社から出た。上林は名前は知っていたが読んだことはない作家。こういう形で傑作集…

【書評】角田光代「夜をゆく飛行機」-家族の変わらぬ時と変わりゆく時を描いて見事な物語

夜をゆく飛行機 posted with ヨメレバ 角田光代 中央公論新社 2009年05月25日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 2006年の作品で文庫化もされている小説だが良い評判を聞いたので読んでみた。明るいトーンの家族小説というスタイルにまず惹かれ…

【書評】金城一紀「レヴォリューションNo.0」-マグマの部分を描ききれていないはがゆさ

レヴォリューションNo.0 posted with ヨメレバ 金城一紀 角川書店 2011年02月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 金城一紀は寡作な作家だが、つまらない小説は書かない。これまでの6作はどれもおもしろかったし、脚本を書いたドラマ「SP」もい…

【書評】木皿泉「Q10シナリオBOOK」-大きなウソがあるからこそキチンと描ける青春の物語

Q10シナリオBOOK posted with ヨメレバ 木皿泉 双葉社 2011年01月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す ドラマのシナリオ本はけっこう読んでいる。倉本聰と向田邦子のものが多い。この木皿泉もそうだが、彼らのシナリオは絵がついてももちろんなの…

【書評】川上弘美「神様」-魂が浮き上がるような不思議な読後感

神様 posted with ヨメレバ 川上弘美 中央公論新社 2001年10月25日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す かなり前、たぶんこの本が単行本で出た頃、評論家の小谷野敦が「理性がまひする面白さ」とこの小説のことを誉めていた。ふ~~~~ん、と思…

【書評】窪美澄「ふがいない僕は空を見た」-主人公たちがいる場所のまっただ中からこの物語は発信されている

ふがいない僕は空を見た posted with ヨメレバ 窪美澄 新潮社 2010年07月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す これはもしかしたら…今年のベストかもしれない。「女による女のためのR-18文学賞」を受賞した短篇「ミクマリ」他4編が収められた連作…

【書評】川上弘美の「風花」-ひとりの女性の魂の彷徨をしっかりと描く

風花 posted with ヨメレバ 川上弘美 集英社 2008年04月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「真鶴」みたいなどこかとんでもないところに連れていってくれる小説もいいが、川上弘美はリアルな恋愛小説もまたいい。匿名の電話で夫の浮気を知らさ…

【書評】川上弘美「古道具 中野商店」-せつなくもおかしい3つの恋模様

古道具中野商店 posted with ヨメレバ 川上弘美 新潮社 2008年03月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 川上弘美の小説にはいくつかスタイルがあるのだが、これは「センセイの鞄」に近いスタイル。個人的には非常に好きな世界だ。舞台は東京の西…

【書評】金城一紀「レヴォリューションNO.3」-パワフル&個性的な悪ガキ高校生たちがなんともいい!

レヴォリューション No.3 posted with ヨメレバ 金城 一紀 KADOKAWA 2008年09月25日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「フライ、ダディ、フライ」「SPEED」と続くザ・ゾンビーズ・シリーズの第1弾。金城一紀がいいのは、第一に文章の勢い、…

【書評】桐野夏生「OUT」-アウトな女たちのアウトな物語にどっぷり!

Out(上) posted with ヨメレバ 桐野夏生 講談社 2002年06月15日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す Out(下) posted with ヨメレバ 桐野夏生 講談社 2002年06月15日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 98年度「このミス」の国内…

【書評】小林信彦「うらなり」-一人の知識人の人生とそこから照射される「坊っちゃん」の時代

うらなり posted with ヨメレバ 小林 信彦 文藝春秋 2009年11月10日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す うらなり、といえばご存知、漱石の「坊っちゃん」に登場する超地味な英語教師である。小説が有名なだけに、野だいことか赤シャツとか山嵐と…

【書評】川上弘美「どこから行っても遠い町」-平凡さの中に危うさが漂う。登場人物のダブらせ方が巧みな連作短編集

どこから行っても遠い町 posted with ヨメレバ 川上弘美 新潮社 2008年11月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 連作短篇といってもその「連なり」にはいろいろなスタイルがある。川上弘美のこの小説は東京にある小さな商店街が舞台、そこに住ん…