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【書評】宮部みゆき「おそろし」-早くも円熟の境地?心理描写、情景描写が冴え渡っていて本当にすごい

 

おそろし (新人物ノベルス) おそろし (新人物ノベルス)
宮部 みゆき

新人物往来社 2010-06-12
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 宮部みゆきっていったい何歳なんだろう?と思って調べてみたら今年

で49歳。この小説を出した時点では48。48でもう円熟期に入っちゃっ

たのか…。そう思うぐらいこれは巧い。彼女の場合、ファンタジーから

ミステリー、時代小説まで幅広い分野を手がけているが、特に時代小説

がいい。巧みな語り口が時代物にはぴったりだ。この「おそろし」につ

いていえば、心理描写、情景描写が冴え渡っていて本当にすごい。「円

熟の境地」…だよなぁ、これはもうそうとしか言いようがない。

 

 この物語、副題は「三島屋変調百物語事始」。宮部みゆきによる「百

物語」の始まりだ。主人公はおちかという17歳の少女。ある事件をきっ

かけに心を閉ざす彼女は、江戸の叔父夫婦のもとに身を寄せている。働

くことでなんとか自分をごまかし生きているおちか。そんな彼女を見て

叔父の伊兵衛は、様々な「不思議な話」を持ってやってくる客の話を聞

いてくれと頼む。叔父は話を聞かせることで、おちかの心を解きほぐそ

うとしているのか。訪れる客はおちか同様、心に深い闇を持つ者ばかり。

何かを忘れることができず惑い、苦しみ、途方に暮れている彼らの哀し

みの深さが心を打つ。そして、おちか自身も…。連作で5つの物語が収

められているが、大団円となる最後の話がなんともすごい。

 

 時代小説をあまり読まないという人にも宮部みゆきはおすすめ。これ

は時代物であり、ミステリーであり、怪談であるけれど、結局は人情話

なのだ。真ん中にあるのは人の心なのだ。だから、どんな人にもまっす

ぐに届く。ぜひ一読を。

 

◯角川から単行本で出てていたものが新人物往来社から新書として出る

 ので紹介しました。12日発売予定。さらに7月25日にはシリーズの

 続編で読売新聞の朝刊に連載されていた「あんじゅう 三島屋変調百

 物語事続」も刊行予定。これは楽しみだぁ。

 

◎「おそろし」は2012年4月25日、角川文庫で文庫化されました。

おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)
宮部 みゆき
4041002818

 

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