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【落語/感想】立川談志×吉川潮「人生、成り行き」-家元が破天荒なその半生を素直に話している喜び

聞き手は吉川潮、気を許した相手だからこその話が満載。

 

 さて、先日紹介したのは落語家・立川談春の「赤めだか」だったが、そんな弟子の本に負けないぐらいおもしろいのが彼の師匠、家元立川談志の「人生、成り行き」だ。サブタイトルに「談志一代記」とあるように、少年時代から現代まで自身のこれまでを忌憚なく話した「語りおろし」である。聞き手は作家であり、立川流の顧問でもある吉川潮。気を許した相手だからか、いつもだと照れてついつい毒舌を吐いたりする家元が、破天荒なその半生をかなり素直に話しているのがうれしい。

 

 入門のこと、政治家になったこと、青島幸男とのこと、協会分裂のこと、そして奥さんのことと話は尽きないが、談志という人も大変な人だなぁとつくづく思う。こんな男めったにいない。物の本質がしっかり分かっていて、それでいて、真っ当ではない生き方をする。かっこいい。というか、かっこ良過ぎる。

 

 そんな男も奥さんの則子さんには頭が上がらない。彼女、「お弟子が増えちゃって顔も名前も覚えられないわ。でもお弟子さんはあたしの顔を覚えるのよね」と言ったり、掃除がきらいで「だって、掃除って、日本中のゴミをどこかに寄せてるだけでしょ」なんて言い放ったりするカワイイ女性だ。家元は彼女のことを「ノン君」と呼び、惚れきってる様子で何とも微笑ましい。最後は立川流のエース「こやつが一番すぐれてる」と家元が言う志の輔も交えての3人の対談。これがまたまたおもしろい。落語ファンならずとも夢中で読める一冊である。

 

◎「人生、成り行き」は2010年12月に文庫化されました。

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