また、本の話をしてる

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主人公の静かな覚悟が気持ちいい、川上弘美の「夜の公園」。

恋愛のドロドロではなく、心の襞の細部までしっかりと描く。

夜の公園 (中公文庫)夜の公園 (中公文庫)
川上 弘美

中央公論新社 2009-04
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 川上弘美の恋愛小説と言えば、ちょっと斜めな感じのシチュエーショ

ンが多く、それがなかなか良かったりするのだけど、「夜の公園」はち

ょっと違う。けっこう、まっすぐな物語だ。

 登場人物は、主人公の主婦リリ、彼女が好意を持つ青年の暁、リリの

夫の幸男、幸男の不倫相手春名。リリと春名は親友だったりして、なか

なか複雑だ。といっても、そこは川上弘美、確かにW不倫であるが、描

かれているのはどろどろとした恋愛模様ではなく、彼ら四人の心の襞。

その細部にまで入り込んでいく。そこで明らかになるのは、だれもが自

分の心を持て余しているという事実。それでも彼女たちは人を愛し、人

と交じり、日々を暮らして行く。その描写にウソを感じないのもさすが

だ。「わたし、いったい今、どこにいるんだろう」「わたしいま、しあ

わせなのかな」「どうしてわたし、今ここにいるんだろう」と幾度とな

くひとりごちるリリ。不安定な中で何かを確かめるように。

 小説は各章ごとに視点が変わっていき、最終章ではそれが渾然一体と

なって最後のリリの独白にいきつく。ラスト、彼女の静かな覚悟が気持

ちいい。

               ◯ ◯

2010.7.12 さぁ~て、選挙も終りましたね。今回ほど誰に投票しよう

か悩んだ選挙はありませんでした。本音を言えば、白紙で投票したかっ

た。ま、ちゃんと書いたけど…。つかこうへいさんが亡くなった。でも、

つかさんの戯曲は永遠です。

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