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【書評】E・アニー・プルー「シッピング・ニュース」-登場人物のキャラクターと厳しい自然を活写する作者の筆力が魅力

 ラッセ・ハルストレム監督が2001年に映画化した「シッピング・ニュース」、いや、ショッピングじゃないですよ、シッピング!「港湾ニュース」とでも訳せばいいのか。原作もかなり有名で94年のピュリッツアー賞を受賞している。

 

 ニューヨークに住む二流の新聞記者が妻に先立たれ、二人の娘と叔母と共に、先祖が住んでいたニューファンドランドに移り住み、人生をやり直す、という話だ。クオイルという主人公が、この土地の新聞「ギャミーバード」で担当することになったのが、シッピング(港湾)ニュースなのだ。この小説の魅力は、新聞社の同僚をはじめとする登場人物のキャラクターとニューファンドランドの厳しい自然、それを見事に活写する、女流作家E・アニー・プルーの筆力だ。

 

 物語全体でなにか大きな出来事が起こるわけではない。様々な小さな出来事の積み重ねの中で、クオイルは劣等感を払拭し、自信を取り戻し、子供との関係を修復し、本当の愛を知る。それを可能にしたのが、雪に閉ざされた、けっして豊かではないニューファンドランドという土地なのだ。厳しい自然に文句を言いながらも、けっしてユーモアを忘れず、クオイル一家に対しても優しい土地の人々が素晴らしく、本当に愛おしくなってくる。これはまさにハルストレムの世界。映画も非常に良かったので、本を読んだら映像でもぜひどうぞ。

 

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2010.8.11 台風4号は日本海から東北に進むコースのようだ。今日はとても蒸し暑い。今読んでる「はやぶさの大冒険」、やっぱりおもしろい。知らないことがいっぱいあってドキドキしちゃう。

 

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