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【書評】綿矢りさ「蹴りたい背中」-そうかこれが19歳の芥川賞か。2人の奇妙で微妙な関係がなんだかいい

 

蹴りたい背中 (河出文庫) 蹴りたい背中 (河出文庫)
綿矢 りさ

河出書房新社 2007-04-05
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 19歳で芥川賞を取った、綿矢りさの「蹴りたい背中」。なるほど、こ

ういう話なのかぁ。内容をまったく知らなかったので勝手に韓国映画の

「猟奇的な彼女」みたいな女の子が主人公かと思っていた。けっこう元

気がいい感じの。蹴りたい、というタイトルだけでそう思ってしまう単

純さ、困ったものだ。さて、主人公の「私」だが、あまり元気ではない。

クラスでは完全にのけ者状態。理科の実験ではグループに入れない。暴

力でいじめられてるわけではないが、なんだかみんな遠巻きにしている。

それは結局、本人が知らず知らずのうちにバリアを張っちゃっているか

らなのだが…。ちょっとひねくれ者の彼女は、そういう状況で寂しい思

いをしながらも周囲に対して、ふん!、なんて思っている。このあたり

の表現に自分を見たり、共感する読者は多いのではないだろうか。

 

 そして、もう一人、クラスの余計者になっている「にな川」という男

の子。オリチャンというモデルの熱狂的ファンである彼は、おたく的で

外見からしてさえない。この2人が互いの孤独をなめ合うように恋にで

も落ちれば「常道」なんだろうけど、そうはならない。そのかわりと言

ってはヘンだが「私」は「にな川」の背中を蹴りたいと思う。「この、

もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい」と。2人の奇妙で微妙

な関係、そのどんよりした感じがとてもいい。こういう関係を非常にデ

リケートな言葉で表現する綿矢りさもなかなかだ。この小説、けっこう

好きだな。

                ◯ ◯

 

2010.9.18 「小さいおうち」を読み終えて絲山秋子の「ダーティ・ワ

ーク」を文庫で読書中。絲山さんの新作「妻の超然」早く読みたいぞ。

 

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