「砂の器」「点と線」をはじめ松本清張の名作はいっぱいあるが、僕はまるっきり読んだことがない。この短篇コレクションも「宮部みゆき責任編集」でなければ手を出さなかっただろう。全3冊だが、これは清張の短篇を読んでおくチャンス、発売時に勇んで読んだ。
清張の作品は、まさに「昭和」である。風俗や世相の上にたった物語が多いので、時代性は本当に際立っている。だからこそ当時は受けたのだろうが、今、読んでみると、なんだかかなり古くさい。これ、全部読めるだろうかと最初は思った。ところがどっこい!、読み進めていくと、時代性だとか、そういうことは本当にどうでもよくなってくる。希代のストーリーテラー宮部みゆきが選んだ名作ばかりということもあるのだろうが、とにかく読ませる。構成、物語の展開はもちろんだが、清張はなによりも人間の凄みを描くのに長けている。あ、いや、いくら初めてでも、巨匠松本清張をこんな言葉で語るのは失礼だな。とにかく、上・中・下3冊をグイグイグイと読めて、本当にうれしい。
小説だけではなくノンフィクションも何編か収められているのだが、こちらも抜群のおもしろさ。もちろん宮部さんの解説もなかなかだ。旅行などに持って行くといい一冊(あ、三冊)である。
2010.8.22 昨日、今日とまたまた暑くて、もうまいった。やめてくれよぉぉ。夏は今日でお終い、なんて言ってるけど本当?あ、明日は雨だ。
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