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【書評】絲山秋子「ダーティ・ワーク」-「ばかもの」を思い出させるラスト、ほのかに見える希望が素晴らしい

 

ダーティ・ワーク (集英社文庫) (集英社文庫 い 66-1) ダーティ・ワーク (集英社文庫) (集英社文庫 い 66-1)
絲山 秋子

集英社 2010-05-20
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おすすめ平均

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 絲山秋子はやっぱり巧い。「ダーティ・ワーク」は全7編からなる連作短編集。といっても、実際に連作だと気がつくのは何編か読んでからだ。書名を含め、各短篇のタイトルはストーンズの曲名が使われている。

 

 最初の物語がまずいい。ちょっと男っぽい外見のギタリスト熊井は、自分のことを持て余すような日々を生きている。そんな彼女がいつも思うのが中2の頃から仲間だったベーシストTTのこと。自分の間違いから大学の時に別れてしまった彼のことが熊井は今でも好きなのだ。そして、彼のことをいつも心配している。そんな彼女が健康診断を受け…。

 

 最終話にたどり着くまでに、いろいろな人物が登場する。2話では貴子という女とその恋人辰也、兄嫁の麻子、3話は遠井という男と悪性リンパ腫で入院している美雪。4話以降ではそれらの人物とさらにつながりのある別の人物が出てくる。出会ったり、別れたり、友人だったり、兄弟だったり、そんなつながりと登場人物一人一人がきちんと描かれ、本当にリアルなストーリーに仕上がっている。いくつかの伏線とちょっとした仕掛けがあり、それが物語をさらに味わい深いものにしている。

 

 この小説に登場する様々な男女、彼らは人生をうまく生きることができない人間たちだ。そういう若者たちの物語、ということもできるのだが、最終話を読み、これは結局、1話に出てきた熊井とTTのラブストーリーなのだと確信した。ラストは本当にグッと来る。絲山の名作「ばかもの」の最後につながるようなラスト。ほのかに見える希望が素晴らしい!

            

 

2010.9.25 今朝なんかはちょっと寒すぎるぐらい。なんだかなぁ。日本政府もなんだかなぁ。「ダーティ・ワーク」が終わり「獣の奏者」の外伝を読み始める。これがまたいいんだぁ。

 

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