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【書評】古川日出男「ベルガ、吠えないのか?」戦争の世紀=20世紀を犬たちの生涯と重ね合わせる一大クロニクル

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 職業柄なのか本のタイトルには敏感に反応してしまう。書名がいいだけで、これはひょっとして、と思ってしまうのだ。古川日出男のこの小説もまずはタイトルに惹かれた。だって、かっちょいいじゃないですか。タイトルだけで読みたくなってしまう。で、ベルカ、って?それはライカ犬の名前。宇宙に飛び立ち、初めて生還した2頭の犬のうちの1頭の名だ。そして、世紀末の世を生きる彼の末裔の名前でもある。

 

 この物語は、戦争の世紀=20世紀を、四頭の軍用犬を始祖とした様々な種類の犬たちの生涯と重ね合わせながら語る一大クロニクルだ。古川日出男がスゴいのはその自在な語り口!語り口というか、もうグイグイグイと筆にまかせて後先かまわずぶっ飛ばしてる感じがなんともいい。頭の中のイメージのままに筆が動いてる、そのスピード感!その自在さ。いいよなぁ。こういう小説家は今なかなかいないのではないか。

 

 犬たちを主人公に20世紀を語る、というのはかなりのアイデアだが、それもまともではない。ロシアマフィア対チェチェンマフィアの抗争が大元にあったりするのだから!日本人ヤクザの組長の娘がカギを握っていたりするのだから!想像力が限界を超えて頭が爆発しちまいそう。う~む、古川日出男、世評通りのスゴいヤツである。

 

 2010.10.4 今夜の「世にも奇妙な物語」。20周年スペシャルで人気作家×豪華キャストのコラボ。京極夏彦、万城目学、宮部みゆき、東野圭吾、朱川湊人の原作となれば見逃せませんよぉ。

 

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