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【書評】ジェフリー・ディーヴァー「スリーピング・ドール」-犯人と人間ウソ発見器、どちらの造形も素晴らしい

 リンカーン・ライムシリーズで大人気のジェフリー・ディーヴァー。この作品は週刊文春や「このミス」でベスト1に輝いた同シリーズの傑作「ウォッチメイカー」に登場した人間ウソ発見器キャサリン・ダンスを主人公にした物語。今どきの言葉でいえばスピンオフ作品である。

 

 ディーヴァーの小説は主役はもちろん脇役に至るまでしっかりとキャラが立っているので実におもしろい。この作品では犯人役で「マンソンの息子」(チャールズ・マンソンは知ってますか?)と異名をとる元カルト集団の殺人鬼ダニエル・ペルの造形がいい。この男、8年前に富豪一家を殺害し、終身刑になっていたのだが脱走、女と2人逃げ回っている。他人を「コントロール」する能力に長け、そのことに喜びを感じるのがペルという男。それを追うダンス捜査官は人間の所作や表情を読み解く「キネシクス」分析の天才。ダンス対ペルはまさに頭脳戦!これはもう、たまらないほど盛り上がる。しかも、ディーヴァー得意のドンデン返し!さらにもうひとつ裏返し!そして、ラストはいつも気持ちよく終るのがディーヴァー流。ちよっとぶ厚い一冊だが秋の夜長にはぴったりの一冊だ。

 

◎「スリーピング・ドール」は2011年11月、文春文庫で文庫化されました。

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 このキャサリン・ダンスが主人公の新作「ロードサイド・クロス」が10月29日に発売。前にもちらっと書いたけど原書で読んだ人の評判がすこぶるいい。文春のサイトでは「ディーヴァー史上でも屈指の傑作」なんて言っちゃってるけどどうだろ?これはまた年末のミステリーベスト10を騒がすことになりそうな一冊だ。

 

2010.10.8 あ、今日はサッカー、アルゼンチン戦だ。どうかなぁ、ザッケローニの日本。とにかく、攻める形を見せて欲しいぞ。

 

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