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【書評】宮部みゆき「日暮らし」-人物の造形、構成の巧みさ、人間ドラマとしての奥深さ!

 これは大好評だった「ぼんくら」の続編。単行本も上下2巻でかなり分厚いのだけど、文庫は上中下の3巻。ちょっとビビるがおもしろいからスラスラ読めちゃう。それにしても、宮部みゆきはうめぇ~なぁ。

 

 なにがうまいって、まずは人物の造形。本所深川のぼんくら同心・平四郎、彼の甥で超美形少年の弓之助、記憶力抜群のおでここと三太郎など主役級の人物はもちろんのこと、煮物屋のお徳や植木職人の佐吉などワキの重要人物から殺人事件の被害者、犯人に至るまで、本当にキャラが立っている。そして、構成の巧みさ。多彩な登場人物をこまやかに書き分けてドラマを動かす。時には寄り道しながら、時にはぴょんとワープまでしてみせて。その手腕は素晴らしい。

 

 さらにいえば、人間ドラマとしての奥深さ。様々な要素が絡み合い、迷宮のような様相を呈しながらも、最後は「ここ!」って場所にピタリと着地する。人間の業、生きるということ、暮らすということ、その核心にぐぐっと迫る。その他にも描写の的確さ、セリフのおもしろさなど言い出したらきりがない。

 

 宮部みゆき畢竟の時代ミステリー。もちろん「ぼんくら」を先に読む方がいい。これも文庫で上下2巻、いや、全部読んでもアッという間、お正月に本を読むなら、こんなのいいと思うぞ。

2010.12.13 今日の東京地方は雨。雨だと犬の散歩がお休みなので時間にゆとりがある。いつも1時間半ぐらい散歩してるから。そういえば「本の雑誌」新年号からクロスレビューが始まってた。ふむふむふむ。

 

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