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【書評】小川糸「喋々喃々」-夢見る乙女があこがれるプチ不倫の物語?

 この本はタイトルに惹かれて読んだ。「喋々喃々(ちょうちょうなんなん)」というのは「男女がうちとけて小声で楽しげに語り合う様子」なのだそうだ。そうかぁ、知らなかったなぁ。なんだかいいよなぁ。こんなタイトルをつけるセンスの人なら物語もおもしろいだろう、と思ったのだ。

 

 しかし…。谷中周辺を舞台にしたこの物語、あの辺りのやわらかな空気もちゃんと描かれているし、おいしそうなお店もいろいろ登場して楽しいことは楽しい。でもこれ、不倫にする必要があったのだろうか?というよりも、それがすべてを台無しにしている。実際にそういう状況にいる人がこれを読んだら、なんて甘ちゃんなヤツらだ!と怒り出すだろう。まぁ、フツーの恋愛だったとしてもなんだかなぁ、って感じだけど。

 

 つまりこれは女の子から見た、都合のいい恋の話なのだ。主人公栞の不倫相手である春一郎みたいな男はどこにもおらんよ!家庭も何も大事なもの全然背負っていないし、都合のいい時に都合よく登場して、ラストもええええっ、そうなっちゃうの!って感じだし。夢見る乙女のプチ不倫物語、としか言いようがない。言葉の選び方がおかしかったり、ムダな文章が多かったりで確かこれはデビュー2作目だったはずだが、首をかしげざるを得ない部分が多い。乙女の支持が高い作家だが、この作品に好意的だとしたら乙女たちもちょっと情けないぞ、と私は言いたい。

 

◎「喋々喃々」は2011年4月6日、ポプラ文庫で文庫化されました。

2011.2.21 前の項、「二人静」の感想を作者の盛田隆二さんが読んでくれてツイートもいただきちょっとあせる。さらにツイッターをフォローしてくれた。ややややや。小川糸さんは読まないでね、ぬぬぬぬぬ。

 

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