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【書評】佐藤正午「ダンスホール」-この作者らしい、奇妙で一筋縄ではいかない物語

 光文社のテーマ競作小説「死様」の中の1冊、佐藤正午をはじめ6人の小説家がこのテーマで筆を競っている。競っていると書いたが、まだ他は読んでないし、佐藤はまともにこのテーマと対峙しているようには思えない。そこが彼らしさだし、ファンにしてみれば新作さえ読めればテーマなんていうくくりはある意味どうでもいいことなのだ。

 

 それにしても、この小説、読む者を十分に戸惑わせる。最初は小説家の独白で始まる。病にかかり小説が書けなくなった彼は離婚後にどうにか立ち直り、ふたたび小説を書き始めるのだと言う。そして、「小説」が始まるのだが…。その物語はひとことで言えば消えた人物を探す話だ。西という主人公は、別居中の妻から離婚届を2通渡される。ひとつは自分たちのもの、もうひとつは妻の今の彼氏のもの。西は彼女から彼氏の妻のハンコももらってきて欲しいと頼まれるのだ。ふふふ、なかなかおもしろそうでしょ?

 

 探している女はいるべきところにはいず、さらに、小説家自身がからんだちょっとアヤシいストーリーがあり、人と人とが複雑に絡み合い、ラストあたりになると、もっともっとわけのわからないことになってくる。でも、確実におもしろいし、登場人物に対する不思議な共感もある。ちょっと奇妙で一筋縄ではいかない物語ではあるが、佐藤正午の小説のこういった感じが僕はけっこう好きなのだ。

 

◎「ダンスホール」は2013年11月、光文社文庫で文庫化されました。

○佐藤正午の他の本の感想などはこちら

 

2011.7.20 いやぁ、なでしこ良かった。本当に良かった。しかし、ワイドショーの人って「恋人はいますか?」とかおしゃれはどうだとか、よくそんなこと聞くよな。ワールドカップ優勝して帰って来たばかりなのに。マスコミってどこか狂ってる。

 

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