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【書評】朝井リョウ「少女は卒業しない」-ストレートに胸を打つ女子高生の物語

  20代の男性作家で青春をきちんと書ける人ってそれほどいないのではないか。朝井リョウは現代の青春小説の書き手としてとてもとても輝いている。さて、彼の最新作「少女は卒業しない」は、合併で廃校になる地方高校の卒業式の1日を描いた連作短編だ。

 

 主人公は女子高生たち。彼女たちと先生、先輩、部活仲間、幼なじみの男の子たちとのストーリーが卒業式当日の朝から深夜までという設定で繰り広げられる。1日の話ではあるけれど、そこでは恋や友情や部活が語られ、あこがれやせつなさや悔しさなど様々な感情が交錯している。「高校生活」のすべてがそこにあるのだ。僕のような青春を遥か遠くに感じている者にとって、それは懐かしいというよりもまばゆ過ぎる感じがするし、今、青春を生きている若者たちにとっては胸が痛くなるような共感があるのではないだろうか。

 

 驚くのは朝井リョウの表現力で、僕は2、3度、これは女性作家の小説なのではないか、と思ってしまった。それほど女子高生たちの心理描写が自然なのだ。青春と真っ向勝負しているその姿勢が素晴らしい。小細工に走ったり、比喩的な表現を好んだりする部分もあるが、今の朝井リョウに変化球など必要ない気がする。

 

※朝日新聞の出久根達郎氏のこの本の書評には笑った。これ。しかし、朝井リョウが男か女かもわからないで書評書いて、のん気でいいなぁ。

 

○この本は2015年2月、集英社文庫で文庫化されました。

◯この他の朝井リョウの書評はこちら

 

 

 

2012.4.25 昨日、母が入ってる老健に行ってベッドで並んで話してたら急にこちらに寄りかかって来た。あれっ、と思ったらどうも右半身の感覚が無くなっているよう。老健から急ぎ、杏林大学医学部付属病院へ。一過性脳虚血症という診断。ううむ、いろいろある。

 

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