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【書評】ジェフリー・ディーヴァー「バーニング・ワイヤー」-作者の底力を感じる圧巻のラスト!

 ニューヨーク市警科学捜査顧問リンカーン・ライムを主人公にしたシリーズの最新作。ジェフリー・ディーヴァーの小説を読んでいる時間はまさに至福の時だ。物語の世界にどっぷりとつかることができる。今回もNYにある電力会社で次々とトラブルが起こる冒頭からグイグイと読ませる。路線バスを襲うアークフラッシュ(電気を起因とした爆発)!アースデイを間近に控えたこの街を騒然とさせた事故は、犯人からの脅迫状が届いたことでさらに大きな事件へと発展していく。早速ライムのチームが捜査に乗り出し、犯人の特定に到るのだが…。

 

 「電気」「電力会社」をテーマにしたのが、さすがディーヴァー。それに環境テロなどいろいろな要素が絡んでくる。実はライム、この時、過去から因縁がある殺し屋ウォッチメイカーのメキシコ入国の報を受け、現地警察と協力の上、追跡中だった。事件のストレスからか、体調を崩すライム。得体の知れない電気と動機不明の犯人にふりまわされる刑事たち。この物語は他のシリーズ作品ほどどんでん返しは繰り返されない。しかし、14ページにも渡る「2人」の対決、その会話がなんとも迫力!そして、「最後の事件」と銘打った最終章の衝撃!!!、さらなる衝撃。ラストは本当にディーヴァーと言う作家の底力を感じる。すごいなぁ…。主流から外れたFBI捜査官フレッド・デルレイ、そして「ルーキー」ロナルド・ブラスキーの造形が素晴らしい。

 

◎「バーニング・ワイヤー」は2015年11月、文春文庫で文庫化されました。上下2巻です。

2012.12.19 ううむ、19日かぁ。読書は角田光代「空の拳」。そろそろ今年のマイベストテンを考えないとなぁ。上位は決まってるけど…。

 

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