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【書評】椎名誠「三匹のかいじゅう」-じじバカ小説でいいじゃないか!

 シーナ氏が「軽い私小説のようなもの」と呼ぶ「岳物語」シリーズ。なんとスタートしてから30年が経つという。「軽い私小説」というのは何だかいいなぁ。重い私小説よりも軽い私小説の方が僕は好きだ。

 

 さて、「三匹のかいじゅう」だが、前作の「大きな約束」(正、続)は、息子である岳のファミリーがアメリカから日本に帰国したところで終わっている。ずっとアメリカ暮らしだった彼らが帰国したその理由とは?ひとつは3人目の子供の出産。もうひとつは子供たちに日本の暮らしを体験させたいという親としての思いがあったからだ。

 

 好奇心旺盛な長男の風太君、ちょっとわがままな長女海ちゃん、そして、物語の中で誕生する次男の琉太君。こんな「かいじゅう」たち相手に奮闘するじいじいシーナ氏。3.11もある、孫たちの病気もある、しかし、自らあとがきで書いてるようにこれは「じじバカ小説」以外の何者でもない。なんだかんだ言いながらもじじもばばも喜々としている。でも、それがいいのだ。若き父親だったシーナ氏と岳少年とのゴツゴツとした交流から始まったこのシリーズが、こんな地平の彼方まで来ちゃったなんて…。なんだかすごい。シーナ氏も今年で69歳。時は巡り、そして、繰り返す。このシリーズ、まだまだ楽しみである。

 

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◎「三匹のかいじゅう」は2016年1月、集英社文庫から文庫になりました。

2013.5.6 ゴールデンウィークも今日で終わり。まぁ例年通り、どこにも行かないでヘラヘラしてました。読書は木皿泉「昨夜のカレー、明日のパン」!!

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