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【書評】馳星周「ソウルメイト」-これは人と犬との深い絆を描いた物語

ソウルメイト ソウルメイト
馳 星周

集英社 2013-06-05
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 登場する犬の名を付けた7つの物語からなる短編小説集だ。チワワ、ボルゾイ、柴、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ジャック・ラッセル・テリア、バーニーズ・マウンテン・ドッグの7話。舞台は著者が住んでいるという軽井沢近郊が多く、ラストのバーニーズは彼自身が飼っていた犬種らしいので、どうしてもイメージがダブってしまう。

 

 「ソウルメイト」は、人と犬、犬と人との深い絆を描いた物語だ。登場する人間たちは決して幸福とは言えない。不幸ではない人間もどこか心がギスギスしている。妻と娘たちに見捨てられた男、新しい父に慣れることができない小学生、震災で母を亡くしたワインコーディネーター、離婚寸前の夫婦などなど。彼らのそばにはただそこにいるだけで気持ちが安らぐ犬たちがいる。犬たちはいつしかそばにいる人間たちの心をとらえ、魂の交流が始まる。

 

 特に印象的だったのは、被災地で母の愛犬と再会する「柴」、そして、死の宣告をウケたバーニーズとの別れを描いたラストの「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」だ。特に最後のこの話は、犬好きにはたまらない。バーニーズには遺伝性の疾患として「組織急性肉腫」という病気があるのを初めて知った。それにしても、この別れ…辛すぎる。

 

 その最終話に登場するフレーズ、「犬は人間の魂の伴侶だ。人は犬をよく理解し、犬も人をよく理解する。他の種族間には存在しえない深い絆を持つ」、魂の伴侶=ソウルメイト、愛犬と飼い主との関係は、まさにこの言葉に尽きる。そして、彼らとの日々がどれだけ人間を救っているか、この7つの物語を読むことで僕らはそれを確信するのだ。

 

 ◎「ソウルメイト」は2015年9月、集英社文庫で文庫化されました。

ソウルメイト (集英社文庫)
馳 星周
408745360X

            

 

2013.9.23 うちのジャックは、あまりに元気すぎてドラマチックな小説になんかなりようがない。読書は綿矢りさ「大地のゲーム」。な、なんだこれは!

 

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