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【書評】ジェフリー・ディーヴァー「シャドウ・ストーカー」-ディーヴァーの小説に外れなし!

 尋問とボディランゲージ分析の天才キャサリン・ダンスを主人公にした物語もこの「シャドウ・ストーカー」で3冊め。最初は「リンカーン・ライム」シリーズのスピンオフかと思ったのだが、ダンスのキャラクターは際立っているし、これはもう独立したひとつのシリーズと考えていいだろう。それにしても、ディーヴァーの語り口は見事というしかない。構成もキャラの設定も文体もキマっている。特に今回は読者の関心も高い音楽の世界を舞台にしていて大いに盛り上がる。

 

 ヒロインはカントリー歌手の新星、ケイリー・タウン。ダンスは休暇で訪れたフレズノで旧知の彼女がストーカーに悩まされていることを知る。そして、身近のスタッフが殺されるという事件。エドウィン・シャープというストーカー男に疑いがかかるが…。ディーヴァーといえば、どんでん返しだが、この物語もまたスゴい。素晴らしいと思うのは、「こいつが怪しい」と読む者に思わせるテクニック。我々はあっさりとそれに乗っかりやっぱり!と思った途端に強烈なしっぺ返しを食らう。ケイリーのヒット曲の歌詞を犯人のメッセージに使うというスタイルも成功しているし、ストーカーの言動も本当に怖い。ダンスの尋問のプロセスもリアルだ。自らが書いたという歌詞も素晴らしく、なんとこの詞に曲がついてCDにもなっているらしい。

 

 優れたエンターテインメント作品を次々と生み出すこの作家の才能には本当に脱帽!ディーヴァーの小説に外れなんてないっ!!

 

◯この本は2016年11月、小学館文庫で文庫化されました。

 2014.1.15 寒いぞ、寒いぞ。寒いと思考力が低下して困っちゃうぞ。いや、ほんと。読書は角田光代「私のなかの彼女」。

 

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