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【絵本】谷川俊太郎 × 松本大洋「かないくん」-これを見ながら、死について考えるのはそんなに悪いことではない

 

 

 

 「谷川俊太郎が、一夜で綴り、松本大洋が、二年かけて描いた。」という惹句にまずは激しく心を惹かれた。谷川さんの詩は昔からよく読んでいるし、松本大洋の絵へのこだわりも知っている。しかも、帯には「死ぬとどうなるの。」という言葉。これは死をテーマにした絵本なのだ。糸井さんのところから出た「ほぼ日」の絵本。この組み合わせは「ほぼ日」だからこそ実現できたものかもしれない。

 

 一読して、ひと口で感想を言うのはなかなか難しい。ビジュアル的には後半の「白」が強く印象に残った。表紙のかないくんの真摯な横顔とそのまなざしが何とも言えない。彼は死んでしまったのだ。あまり言わないほうがいいのかもしれないが、この物語は作りが2段階になっている。かないくんのことを語る前半と絵本作家である「おじいちゃん」を語る後半。この構成がとても効果的だ。

 

 生きていることと死んだこと、存在と不在、こちらとあちら、終りと始まり…。考えることはいろいろあるけれど、その前に心をグッととらえるものがある。死んでしまった友のことなども思い出した。

 

 個人的にはあまり「死」のことを考えたりしない。ずっと考えると怖くなってしまうから。でも、この絵本を見ながら、ちょっとだけ死について考えるのはそんなに悪いことではないし、そんなに怖くはない。詩人と漫画家の共同作業。これはまさに魂のこもった仕事だ。何度も何度も繰り返し読みたい物語である。祖父江慎の装幀が素晴らしい。

 

◯「ほぼ日」でいろいろと特集が。谷川さんと松本さんの対談、「かないくん」ができるまで、など。こちらから。

◯「ほぼ日」で買う場合のみ副読本がついてきます。送料がかかるけど。もちろん、アマゾンや本屋でも買えますよ。

 

2014.3.17 パラリンピックも終わって、ようやく春の気配。もう寒くならなくていいぞ。読書は原田マハ「翔ぶ少女」。いやぁ、これは…。

 

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