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【書評】逢坂剛「百舌の叫ぶ夜」-やはり名作!見事なキャラクター造形とその語り口

 ドラマを見ていて、昔から世評の高かったこの小説を読んでみたくなった。僕にとってこういうことは珍しい。ドラマの「mozu」はスタイリッシュでなかなかおもしろかったけれど、やはり、原作には及ばない。ドラマは最終的な詰めの甘さがある。いずれにしても、ドラマを見る前に読むべきだったなぁ、と反省しきり。何も知らなければ、もっともっと楽しめたのではないだろうか。

 

 物語は都心で起こった爆発事件を発端に、その犯人と思われる男の話と彼を追う公安の倉木たちの話が交錯しながら語られていく。倉木はこの爆発事件で妻を亡くしている。この小説、何といってもキャラクターの造形がいい。倉木のクールさ、百舌の怪しさ、さらに脇を固める人間たちのキャラも際立っている。あとは逢坂剛の語り口の見事さ。ハードボイルド的な魅力が横溢している。

 

 物語は終盤に向かってグイグイと突き進んでいき、怒涛のラストを迎える。「百舌の叫ぶ夜」で最終的に語られるのは警察・公安の闇である。倉木たちが事件を追う中で明らかになっていくその闇の深さ!そこに一矢報いようとする「百舌」の存在とその執念。これはやはり名作と呼ぶにふさわしい一冊だ。

 

2014.7.7 七夕、らしい。ワールドカップも終盤。コスタリカ、がんばったなぁ。読書は山本文緒「なぎさ」がなぜか進まず。台風が気になる。

 

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