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【書評】角田光代「平凡」-この物語には人生に対する肯定があり、希望がある

 

平凡 平凡
角田 光代

新潮社 2014-05-30
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 6つの物語が収められた短篇集。これはきっと、今年のマイ・ベストに入るのではないか。人生の岐路を描いた物語はたくさんあるが、ここで描かれているのは、過去を振り返り、もしあの時違う選択をしていたら別の人生があったのでは、と考える男や女の話だ。とはいえ、作者は角田光代。単純な夢想話などひとつもない。登場人物は、過去を振り返ると共に現在の自分を思い、さらに、他人のそれに思いを馳せる。結果的に「今そこに生きている自分」がクッキリと浮かび上がってくる。

 

 特にいいのが最後の2編。表題作「平凡」は、しがないパートの主婦紀美子と誰もが知っている料理研究家春花、高校のクラスメートだった2人が再会する話。このシチュエーションがなんともいいのだが、春花は庭子にとんでもないことを頼み込む。平凡な人生って?と自分に問わずにはいられない物語。ラストの「どこかべつのところに」は、思いの中に自責の念があるところが他とは違う。愛猫を逃してしまった庭子、息子を亡くしてしまった老女愛、2人の出会い。「そうなのよ、だって、生きているから」という愛の言葉に僕は涙を流した。珠玉の一編。

 

 「平凡」は全体を通して人生に対する肯定があり、希望がある。自らの生き方にもう一度思いを巡らしたくなる短篇集。角田光代、この人はやっぱりすごい。

 

◯角田光代のその他の本のレビューはこちら

 

 

2014.8.15 お盆ですね。あまり関係ないけれど。関東地方はまたまた暑くなっちゃって…。読書は片岡義男「ミッキーは谷中で六時三十分」。

 

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