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【コミック/感想】高野文子「ドミトリーともきんす」-高野文子が教えてくれる!化学や物理も人間っぽい

 高野文子は大好きである。でもこれは僕には合わないんじゃないか、と思っていた。科学とか物理とかいわゆる理科系にはまったく関心がない。科学の本の案内書的な内容は絶対に苦手っぽい。でも、高野文子だぜ。高野文子がただの高野文子であるわけがないじゃないか。

 

 というわけで、買って読み始めたら、やっぱりこれは高野ワールド!おもしろい。この本を読みながら一番感じたのは、あの難しいなんだかわからん科学や物理のその法則は人間が見い出した、という当たり前といえばアタリマエのこと。そのことに僕は「おぉ」と思い、ちょっと安堵したりしてるのだ。

 

 特におもしろかったのは湯川秀樹だ。詩と科学、という一文。子どもたちのために、という副題が付いているこの文章がなんともいい。「詩と科学とは同じ場所から出発したばかりではなく、行きつく先も同じなのではなかろうか」「そればかりではない。二つの道はときどき思いがけなく交差することさえあるのである」という言葉に強く心を揺さぶられた。彼らはまさに「実験室の片隅で自然の中に隠された”詩”を見つけた人々」なんだなぁ。彼らの世界を描くために製図ペンを使った高野文子の絵が絶妙。文系の人も理系の人もぜひぜひ一読を。

 

◯高野文子のその他のコミックのレビューはこちらから

okuubook.hatenadiary.jp 

2015.1.6 あけましておめでとうございます。このブログ、今年もどうぞよろしく。おもしろい本をどんどこ紹介していきますよっ。読書は宮部みゆき「荒神」。なかなか本を読む時間が取れない。あ、前の項で昨年のベスト本を紹介してるので、まだの人は見てみてくださいね。

 

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