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【書評】宮部みゆき「荒神」-これは現代にもつながる人と「怪物」との物語だ

 

荒神 荒神
宮部みゆき

朝日新聞出版 2014-08-20
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 これまで宮部みゆきの時代小説は宮部ワールドの中の時代物、という感じがしていた。しかし、この「荒神」の前半などは、正統的な時代小説の趣がある。宮部みゆきはさらにさらにスケールアップしている。

 

 小説の舞台は東北にある二つの小藩、香山と永津野。敵対する2藩だが昔は一つの藩だった。その香山の小さな村が一夜にして壊滅してしまうところから物語は始まる。村民たちの「逃散」と呼ばれたそれは、実は「怪物」によるものだった。この騒動から動き出す両藩の人々の動きを宮部みゆきは巧みに描いていく。香山藩の直弥と達之助の幼なじみ。蓑吉という生き残りの少年。永津野藩の藩主側近で専横を極める弾正とその妹・朱音。再び「怪物」が動き出し、それに引きつけられるように彼らとその周辺の人々が集まって来る。遠い古から連なる因縁や呪詛が明らかになるにつれて「怪物」の正体も薄ぼんやりと見えてくる。

 

 いつも書くことだが宮部みゆきの小説はその真ん中に人間がいる。一人ひとりが持つ強さややさしさ、強欲さや身勝手さ、そして、哀しさ。そういうものが一つになったその先に「怪物」がいるのだ。彼らはそれぞれの思いを抱えてこの異端のものに立ち向かっていく。舞台を考えればこれは現代にもつながる人と「怪物」との物語。大いなる希望を感じるやさしいラストが素晴らしい。こうの史代が描く表紙もまたいい。

 

◯宮部みゆきのその他の本のレビューはこちら

  

◎「荒神」は2017年6月28日、新潮文庫から文庫になりました。

荒神 (新潮文庫 み 22-31) 荒神 (新潮文庫 み 22-31)
宮部 みゆき

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 2015.1.19 なんだか大変だった校正も終わり、ホッとひと息。でも、やることがいろいろと…。読書は角田光代「笹の舟で海をわたる」。

 

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