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【広告関連/書評】岩崎俊一「幸福を見つめるコピー」-コピー術の本ではない。でも、コピーとは何かがよくわかる

 もう35年ぐらいコピーライターをやっている。若い頃はいろいろなコピーライターのコピー作法のような本をたくさん読んだ。僕の上の世代には秋山晶さん、糸井さんや仲畑さん、川崎徹さんなど広告の達人がいて、天野祐吉さん、島森路子さんなど頼もしい広告応援団もいた。

 

 去年の12月にコピーライターの岩崎俊一さんが亡くなった。ショックだった。67歳はあまりに早すぎる。岩崎さんは上記の人々のように派手さはないけれど、心に残るコピーをたくさん書いている。これ誰のコピーかな?と思い調べたら岩崎さんのコピーということが何度もあった。たとえば…

 

年賀状は、贈り物だと思う。(日本郵便)

あなたに会えたお礼です。(サントリー)

人は貧しいという理由で死んではいけない。

(日本フォスター・プラン協会)

美しい50歳がふえると、日本は変わると思う。(資生堂)

やがて、いのちに変わるもの。(ミツカン)

負けても楽しそうな人には、ずっと勝てない」(セゾン生命)

贈る者は、汗をかけ。(西武百貨店)

 

 コピーライターなら、こんなコピーを書きたい、と誰もが思うような素直で美しいコピー。無理にこねくりまわしたりしていない純度が高くスッと心に届くようなコピー。亡くなってから岩崎さんが書いた本があることを知って読んでみたくなった。「幸福を見つめるコピー」、ここには彼が書いた200本のコピーとエッセイが収められている。

 

 その冒頭で岩崎さんはこう書いている。「幸福になること。人は、まちがいなく、その北極星をめざしている」そして、コピーも例外ではなく、ここをめざして書かなければいけない、と。これを理想論だと笑い飛ばすのは簡単だ。たかがコピーと言うこともできる。でも、この本を読めば、岩崎さんが常に真摯な態度で書き続けたことがよくわかる。コピー術の本ではない。でも、コピーとは何かがこれを読めばよくわかる。

 

◯さらにコピーや解説、エッセーなどを追加した「完全版」が2015年7月に出版されました。

2015.2.23 オスカーを後半ちょっと見る。作品賞は「バードマン」、イニャリトゥ監督は「21g」が大好きだ。読書は「鹿の王」上巻。

 

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