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【書評】小池真理子「千日のマリア」-そのすべてに「時の流れ」を強く感じる8つの物語

 小池真理子は巧い。豊かで芳醇な味わいがあるその文章は、読む者を自然と彼女の物語世界に引きこんでいく。そして、その物語は、人間の魂をまるごと描くことで、読む者の心を強く捉えて離さない。彼女の小説を読んでる時間、それはまさに至福の時だ。

 

 「千日のマリア」は8編からなる短篇集である。そこで描かれる多彩な主人公たち!義理の叔父である映画監督に強く惹かれる大学院生、母と大家の息子の逢瀬を目撃した少女、父の愛人であるモデルに子供の頃からあこがれ続ける男、愛した男が忘れられず心の病を抱え廃墟に住む女。そして、片腕切断の原因となった義母へ強い愛憎を抱く男。これが表題作の主人公でこの話が一番心に残る。彼の行動はせつなく哀しい。そんな彼を黙って受け入れる義母の悲しみはさらにさらに深い。「千日のマリア」とは本当によくつけた、見事なタイトルだ。

 

 まったく独立した8つの物語だが、そのすべてに「時の流れ」を強く感じる。主人公たちは過ぎ去った時を振り返り、流れてきた時間を自ら受け止める。悲しみ、怒り、寂しさ、懐かしさ、後悔とわずかな希望…様々な思いを胸に。人が生きていく長い時間を思うと、それはなんともせつなく、なんともやるせない。それでも人間は自らの人生を生き続けるのだ。

 

○「千日のマリア」は2017年11月に、講談社文庫から文庫になりました

2015.4.4 この週末から来週にかけてずっと曇りの予報。なんだかいやだなぁ。体調崩してる人も多そう。読書は上橋菜穂子「鹿の王」下巻。

 

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