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【書評】又吉直樹「火花」-ウダウダとした会話の中にある「真実」が心を強く捉える

 

火花 火花
又吉 直樹

文藝春秋 2015-03-11
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 花火で始まり花火で終わる小説「火花」。それだけで十分にややこしい。これ、芸人又吉のファンというだけで手に取ったならば、なんだなんだ感が強いのではないか。特に前半はそれを感じる。

 

 売れない若手芸人の徳永と先輩芸人である神谷の話だ。神谷は破滅型といってもよく、徳永はなぜかこの先輩に強く惹かれ、時々会って話をするようになる。大阪の大手事務所にいた神谷が拠点を東京に移すことになって交流はさらに深まる。舞台になるのは神谷の彼女のアパートに近い吉祥寺だ。

 

 神谷という男は漫才に対してはもちろんのこと、生き方や様々なことに対して一家言ある。しかし、出会いの時、彼は24歳の若者に過ぎない。神谷が言ってることはマトモであるようにも思えるし、そうでないようでもある。20歳の徳永は共感したり反発を感じたりしながらも、神谷のことを信じている。この小説の魅力は、年若い2人のこのウダウダとしたやりとりにある。芸の話、人生の話、そこにあるいくつかの真実が心を強く捉える。

 

 終盤、出会いからすでに8年ぐらいの時が流れている。その間に2人の人生にも大きな変化が起こる。一時期姿をくらましていた神谷との再会、徳永は神谷の姿に驚かされる。なんと彼は…。徳永にしても神谷にしてもある意味分かりやすい人間で驚きはないのだが、この終盤にかけての展開はおもしろく、成長小説としてとても魅力的だ。

 

 又吉直樹、処女作と思えない達者さ。これからも書いていくと思うし、さらにおもしろいものも期待できるが、芸人とか自分の世界ではないものを早く読みたいと思った。

 

○この本は2017年2月、文春文庫で文庫化されました。

 

2015.5.6 GW中もなんだかんだと仕事をしていた。これが終わったら二子玉川に行きたいぞ。読書は絲山秋子「離陸」。

 

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