なぜか集英社から新潮社へと出版社は変わったけれど、これもまたあの「岳物語」シリーズの一冊だ。椎名誠はもちろん小説もいいのだが、こういう極私的エッセイはすこぶるおもしろい。ま、デビューが「さらば国分寺書店のオババ」の人ですからね。
というわけで、「孫物語」!長男との交流を描いた「岳物語」から30年。シーナは長男の子供たちのじいじいとなり、帯の言葉を借りるなら「71歳、ただいまイクジイ中!」なのである。ま、これはシリーズ前作である「三匹のかいじゅう」からの流れで、内容的にダブル部分もあるのだけど…。長男・波太郎、長女・小海、次男・流(なぜか「三匹のかいじゅう」とは名前が違う)の3人は、それぞれ個性豊かで、さすがのシーナも振り回されている。
ま、じいじいになったら誰でもそうなのだろうが、振り回されながらもやたらとうれしそうだ。そんなジジバカ話の途中に、アイスランド旅行の話や日本の貧弱な道路行政の話、そして、シーナの義母の話などがちょうどいい感じで挟み込まれていてバランスがいい。「黄金の夏休み」と題された最終章。波太郎と2人で余市にある山の上の家に行く話が素敵だ。波太郎の小学校最後の夏休み。2人が交わす何でもない会話、でも、そこに、なんともいえない幸せをシーナは感じるのだ。ううむ、やっぱりこのシリーズはおもしろいぞ。
◯この本は2018年10月、集英社文庫で文庫化されました。
◯椎名誠のその他の本のレビューはこちら
2015.7.4 なでしこ〜〜〜〜、またまた、決勝まで来ちゃったなぁ。すごい!どうなることか、と一時期は思ってたんだけどなぁ。またすごい試合が見られそう。読書は窪美澄「さよなら、ニルヴァーナ」!
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