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また、本の話をしてる

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【BOOK NEWS】盛田隆二「父よ、ロング・グッドバイ」関連番組、24日放送(感想追記あり)

 旧ブログで書評を書いた盛田隆二「父よ、ロング・グッドバイ」。父親との10年間にわたる介護生活を綴ったノンフィクションの傑作です。まずはその書評を。リンクにしようと思いましたが、ここに転載してみますね。

 

 

 

 

 

著者だからこそ書けた介護生活の「リアル」。

 「男の介護日誌」という副題の通り、著書の父が91歳で亡くなるまでの約10年間の介護生活を描いたノンフィクションだ。「リアリズムの名手」と呼ばれる小説家がノンフィクション、しかも自らの体験を書くのだから、この「リアル」は本当に心に迫る。盛田隆二だから書けた一冊だと思う。

 

 実家に住む父と母、そして妹。少し離れたところに住む盛田夫妻。冒頭で語られる母の病気と死。妹の病。父親は妻を亡くしたことで生きる意欲を失い認知症がひどくなってしまう。それがすべての始まり。

 

 介護というのはただのルーティンではない。介護するべき人がいる、ということで生活の全てが変わってしまう。そして、何事かが起こればその大きな波にのまれて、まる1日、時には数日の暮らしを失い、精神的なダメージを受け、「普通の暮らし」ができなくなる。父親の言動に振り回される盛田氏の日々を読んでいると、このことを強く強く感じる。

 

 タイミングの悪いことに、この時彼は小説家一本で生きていこうと決意したばかりだった。大切な依頼原稿を断らなければならなくなった辛さと焦り。様々なことが重なって、彼自身も心の均衡を失っていく。盛田氏は全編を通じて「介護っていったい何なんだ?」と自らに問いかけているように思う。同時に読者にもその問いは向けられる。

 

 介護生活というものは、一家族一家族違う。だからこの本が今家族を介護してるすべての人の参考になるわけではない。それでもこの実話を通じて感じる強い共感は、大きな力になるのではないか。エピローグ。父が語る母との出会いの話。そして、ラストを飾る一葉の写真。自然と涙がこぼれた。

 

 

 このノンフィクションの関連番組が明日24日の夜8時から、NHK-Eテレで放送されます。「リハビリ・介護を生きる/認知症の親をおくって 父との長いお別れ・作家盛田隆二」。詳しくは下を。これはぜひ見たいなぁ。盛田さんの生の声も聞きたいし。

 


追記(8.25)ーEテレの放送を見ました。30分ですがロケやスタジオでのトーク、本の内容などが上手にまとめられていてとてもよかったです。本を読んだ時に、僕は自分の介護(母や義母)と置き換えて読んでいて、「父と息子」の視点が書評では抜け落ちていたのですが、この番組を見て、父子の関係の微妙さも描かれていたな、と再認識しました。僕のおやじは70代であっさり死んじゃったからなぁ。盛田さんの誠実な人柄もテレビを通してよく伝わってきてこれはうれしかったです。あ、今、両親の生涯を小説にしていて連載も始まってるとか。これは本になるのが楽しみ。

 

 再放送があるそうです。見逃した人はぜひぜひ。8月31日の午後1時5分からです。詳しくは上のNHKの案内を見てみてください。本の方もぜひ!

 

◯盛田隆二の本の書評はこちらです(旧ブログ)。

 

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