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【書評】砂田麻美「一瞬の雲の切れ間に」-「本の雑誌」上半期ベスト1!人は人に傷つき、人に救われる。

 「本の雑誌」の上半期ベスト1。あの北上次郎が「もう年間の一位って決めてるんだ」と言い放っちゃった1冊だ。著者の砂田麻美は話題になった「エンディングノート」の映画監督。映画監督といえば西川美和もすごいけれど、この人も大したもの。この小説、2冊目とはとても思えない。小説どんどん書いて欲しいけどなぁ。

 

 「一瞬の雲の切れ間に」は5人の語り手による5つの物語、連作短編集だ。連作短編はとても好きなのだが、この作品のように登場人物がゆるやかにつながっているスタイルが特に好きだ。視点が変わることで、見える景色も変わってくる。

 

 この物語、その中心にはひとつの人身事故がある。妻が運転し夫が同乗、小学生の男の子が轢かれて死んだ。語り手になる5人は深く浅くこの事故とつながっている。当事者であったり家族であったり、さらに…。

 

 砂田麻美は最初からけっして核心に迫ることはなく、語り手たちの人間関係をしっかりと描いていく。アタリマエのことだが、事故の当事者であっても、人生は続いていく。周りにいる人々との関係、彼らとの会話、寄せては返すような心の波紋。普通の日常が彼らを傷つけ、彼らを救う…。人は人に傷つき、人は人に救われる。5人目の意外な語り手。そして、すべてが分かるそのラスト。砂田麻美という作家には類まれなる構成力と表現力がある。

 

 

 2016.10.1 10月だぁ。まだまだ天気が悪い。今月は話題の本や映画がいろいろとあって楽しみ。読書は「〆切本」。

 

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