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【書評】夏目漱石、江戸川乱歩他「〆切本」-〆切のいろいろを集めたアンソロジー!左右社、よくやった!

  労作だ。そして、企画勝ち!まぁ、国会図書館のサーチなどを使えばある程度の目星は付くのかもしれない。でも、内容を確かめてセレクトしてとなるとやはり大仕事だ。左右社、よくやった!パチパチパチ。


 さて「〆切本」、一言で言えば〆切に関連したエッセイ等を集めたアンソロジーである。表紙の惹句も本自体の売り方もそうだから、全編が〆切にヒーヒー言ってる作家たちの泣き言、と思っている人が多いかもしれないが、ちょっと違う。ヒーヒーの人ももちろんいるけれど、冷静に〆切について語っている作家も多い。あと、〆切という言葉が入っているけれど、それほど「締め切ってない」感じのエッセイもある。あれっ?じゃあ、期待はずれ?、いやいや、そんなことはまったくまったくないっ!なんだかやたらとおもしろいのだ。
 

  のっけから田山花袋がぶちかましてくれるし、井上ひさしは「罐詰体質」なんて言い出すし、高橋源一郎が「だいたい作家などというものは、通常の仕事も耐えられないから作家になったのだ」などと書いているとソウダソウダと何の根拠もなくうなずいてしまう。第2章「敵か、味方か?編集者」はまさしくタイトル通りの内容で、クククッと笑う。ラストの柴田錬三郎「作者おことわり」には涙が出た(うそ、だけど)。


 アンソロジーとは出会いである。横光利一って国語の教科書で読んだだけだけどこーゆー人だったんだなぁ。ちょっと読んでみるかなぁ、と思ったり。内田百閒を読んだことがない若者が収録のエッセイを読めば「なんだこいつは」と一気に興味が高まるだろう。というわけで、「〆切本」、おもしろいぞっ!おすすめっ!

 

2016.10.16  今年の日本シリーズは広島ー日本ハムでお願いしたい。日本ハム、がんばれ。え〜っと、読書は川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」。

 

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