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【書評】朝井リョウ「ままならないから、私とあなた」-ままならないからおもしろいのか、ままならないからイヤなのか

 短編「レンタル世界」と長い表題作の2編を収録。「ままならない〜」、ううむ、すごくおもしろいぞ。で、このタイトルから大人の話かと思っていたらなんと小学生の話から始まったのでびっくり。しかし、朝井リョウ、彼は学生や子供たちの世界をデビューからずっと描いてきているので、こういう世界の描写には定評がある。前にも書いたが、この人はまるで女流作家のようなこまやかさで対象を描く。大したものです。

 

 さて、小学生の話?と思ったらそうではなかった。主人公の雪子と友人の薫ちゃんのストーリーは、小5から始まって中学、高校を経て社会人でのいろいろまでが描かれる。ラストでは現在よりもう少し先の未来にまで行き着く。ピアノが好きで作曲の道へ進もうとする雪子、ピアノ演奏者のクセを読み取るソフト「おうちでピアニスト」を高校生の頃に作り注目を浴びる薫ちゃん。雪子は人間的な関係の中から何かを生み出そうともがいているのだが、薫ちゃんの方はすべてを合理的に考えていてその中からでも新しい人間的な何かが生まれると思っている。恋愛面でも2人は対照的で雪子は小学生の時からずっと仲良しの渡邉君が相手、一方の薫ちゃんはなんと…。

 

 

 朝井リョウは、この2人の友情と対立を描きながら、様々な技術的な便利さを甘受しているこの時代とそこで生きる人間たちのゆらぎを描いている。ままならないからおもしろいのか、ままならないからイヤなのか。そして、なんともおかしみに満ちたラスト!こういうテーマを友情の中で語っていくというのがとてもとてもおもしろい。これを読んで「レンタル世界」のことを振り返ると、2つの物語が見事にシンクロしていることに気がつく。

 

朝井リョウの他の小説の書評はこちらから(旧ブログ)。

 

2016.11.18  雪は積もらなくてよかったけれど、今日はまだまだ寒い。この冬は寒いのかなぁ。イヤだなぁ。読書は、朝井リョウ「何様」。

 

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