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【書評】宮部みゆき「三鬼 三島屋変調百物語四之続」-その「物の怪」は人の心を映し出す

■ま行の作家 ■ま行の作家-宮部みゆき

 「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子」に続く三島屋変調百物語、待望の第4巻だ。宮部みゆきの小説の中でもこのシリーズは本当に新刊が待ち遠しい。「聞いて聞き捨て、語って語り捨て」、心に傷を持つ主人公おちかが一人の語り手と対峙して聞く変わり百物語には、この世のモノとは思えない妖かしの者たちが次々と登場してくる。恐いのか?恐い。でもなんだかそいつらはこの人の世の「写し」のようでもある。そうなると恐いのは物の怪たちではなく「人」。だから、なおさら恐い。

 

 表題作の「三鬼」、改易となったある藩の江戸家老村井の昔語り。大女の妹に起こった不幸な事件、相手を討った彼は山番士として山奥の村に追いやられる。前任者が「鬼がおります」と語ったその村で彼が見たものは…。その正体を知った村井の驚き、嘆き、そして悲しみ…。

 

  ラストを飾る「おくらさま」、おちかの前に忽然と現れ、語り終えた途端に消え去ってしまった老婆の正体は?長いエピローグのような話の中で再会する2人、心の時を十四歳で止めてしまった梅というその老婆の思いの強さ!悲しみの深さ。彼女の言葉は、不幸を背負ったおちかの心をもまた動かす。  

 

 巻頭の「迷いの旅籠」のお化けたち、おかしみいっぱいの「食客ひだる神」の憑き神。宮部みゆきの小説には「物語を読む幸せ」がある。文章も構成もアイデアもすべてが素晴らしい。

 

◯三島屋変調百物語、過去3作の書評はこちら(旧ブログより)


 2017.3.10 ううむ、というようなことが起こって、ううむ。読書は芥川賞をとった山下澄人「しんせかい」、これおもしろいなぁ。

 

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