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【書評】谷口ジロー「父の暦」-良質な文学作品のような父と息子の物語

 谷口ジローさんが亡くなったショックはまだまだ続いているけれど、未読の本がけっこうあるので少しずつ読んでいきたいと思っている。そこで、最初に手に取ったのがこの「父の暦」。自伝的な物語ではないのだが、谷口さんが自らの故郷である鳥取を舞台に父と息子の話を描いた作品ということで俄然読みたくなった。これを最高傑作という人もいた。


 物語は故郷に住む父の死から始まる。幼い頃に父は母と別れ、主人公である陽一と姉を男手ひとつで育ててきた。しかし、陽一は父のせいで母が家を出たと信じており、わだかまりが解けないまま東京に出てきた。ほとんど帰省もせずにいた陽一なのだが、お通夜に遅れてやってきた彼に故郷の人々はやさしい。そこで、大介という伯父さんや姉たちが語る昔語り。初めて聞かされる父と母との真実。その発端となった鳥取大火のこと。寡黙であまり話すこともなかった父の思い。陽一は自らの愚かさを知り、打ちのめされる。


 これは普遍的ともいえる父と息子の物語だ。子を思わない親はいない。しかし、ひとつの誤解で父子の関係は崩れ、子供が親の思いに気がつくのはずっとずっとあとのことになる。良質な文学作品のような一編。やはり、谷口ジローはすばらしい。

 

◯谷口ジローの他の作品の書評はこちら(旧ブログより)

谷口ジロー no.16

 

 2017.3.31 さてさて3月も今日で終わり。プロ野球も開幕。読書は村上春樹「騎士団長殺し 第一部」。騎士団長、出てきた。

 

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