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【書評】佐藤正午「月の満ち欠け」-月の満ち欠けのように繰り返すことで、その愛は「永遠」へと近づいていく

 一気読みできればたぶんその必要はないのだけどそうもいかず、物語の後半で「人物相関図」を作ってしまった。あの人がこの人とあーなって、こーなって…ううむ、なるほどなるほど。

 

 しかし、この物語、他の作家がYA(ヤングアダルト)みたいな感じで書けないこともない。でもそんなものはたぶんケケケッと笑い飛ばしちゃうだろう。佐藤正午が書いたからこそ「物語」として成立するわけで、そこがこの作家のスゴいところだ。佐藤正午が書く小説は、他と何が違うのか。それは常に薄いベールのように「謎」に覆われていること。そして、最後にきっちりとストーリーではなく「人間」へと収斂していくこと。構成、キャラクター、文章力、すべてを結集して作り上げるその物語の見事さ!

 

 で、どんな物語?う〜む、これは書けないなぁ。要約さえ難しい。それを知ってしまったらこの小説を読む愉しさの半分は失われてしまう。まぁ、岩波書店も帯の裏で盛大にネタバレやってますけどね。書店のPOPはさらに酷く…。いいのかなぁ、つまんないなぁ。

 

  「月の満ち欠け」は思い切って一言で言うならば究極の愛の物語だ。月の満ち欠けのように繰り返すことでその愛は「永遠」へと近づいていく。後半、この愛を普遍的なものとして描くために作家は静かにギアをシフトさせる。その巧みさ!

 

 佐藤正午の小説を覆いつくしているミステリアスな気分にはちょっと特別なものがあります。これは味わった人だけにしか分からないもの。ぜひぜひ!

 

◯佐藤正午の他の本の書評はこちらで(旧ブログ)

佐藤正午 no.8

 

 2017.5.9 さて、韓国の大統領選はどうなるのかな?読書は、窪美澄「やめるときも、すこやかなるときも」。

 

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