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【書評】原田マハ「リーチ先生」-これは芸術を志す名も無き人へのエールでもある

 原田マハはこの物語で小説家としてさらに大きく成長した。「本日は、お日柄もよく」のようなちょっと軽めの現代小説が書けて「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」のようなアートエンタテインメントもモノにしてきた彼女だが、「リーチ先生」は本格的なアート小説といっていい。


 バーナード・リーチ、多くの人が名前を知っているが、その功績や影響は意外と知られていない人物だ。20世紀の初めにリーチ青年は幼い日を過ごした日本に1人でやって来る。日本の文化や芸術をもっと学び、西洋と東洋の架け橋になるという大志を抱いて。彼は革新的な考えを持った白樺派の面々と交流することで大きな刺激を受け、さらに「陶芸」と出会い、そのおもしろさにのめり込んでいく。

 

 「リーチ先生」では作者が仕掛けたある「アイデア」が効いている。リーチの助手として沖亀乃助という架空の人物を配したのだ。亀乃助を通して、リーチという人物の豊かさや大きさが語られ、柳宗悦や濱田庄司、富本憲吉、河井寛次郎など後に大家となる評論家や陶芸家の人間性が伝えられる。彼は常にリーチに寄り添い、後々リーチと共に渡英する。亀乃助という架空の人物がいることで物語は奥行きを増し、陰影が生まれ、情緒に溢れる。そればかりではない。彼の存在は、芸術を志す名も無き人々へのエールにもなっている。

 

 プロローグ、そしてエピローグには彼の子供である高市が登場する。このラストの何とも美しく感動的なこと。この小説で原田マハは新田次郎文学賞を受賞している。

 

 ○原田マハ、他の本の書評はこちら

 

 2017.7.23  東京、今日は曇りで雨も降ってきた…。一息つけたがそれにしても暑い夏だなぁ。読書は原田マハ「アノニム」、こちらはアートエンタテインメント。

 

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