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【書評】山下澄人「ほしのこ」-そうかそうか、山下澄人ってこういう表現をする人だったんだ!

 「しんせかい」で芥川賞を受賞した山下澄人の最新小説。「しんせかい」は内容だけではなく、文章や表現方法もおもしろく強く心を惹かれた。他の作品は未読なのだが、著者は様々な表現を試みていると聞いた。さて、この作品は?


 「ほしのこ」は童話のような物語。北国の海沿いの小屋に住む父と娘。天(てん)という名前の娘は父から「お前はこの星のものじゃない」と告げられる。父に連れられて遠くの星から来たのだと。そんな父との突然の別れ、そして、彼女の分身のようなルルという少女の出現、近くに住む昆布ばばあとの交流、自然の只中で天たちの暮らしは続く。

 

 飛行機乗りが現れる後半あたりから、視点や語り手がどんどんと変わり、時間の流れも前後し、誰が誰だかさえ分からなくなってくる。その混沌が気持ちいい。そんな中でぽっかり浮かびあがってくるのは、一人ぼっちになってしまった天が、出会った人々や死者たちに支えられるように健気に生きていく姿だ。「からだが動かなくなるまで、この星で」生きていくと彼女はひとりごちる。

 

 そうかそうか、山下澄人ってこういう表現をする人だったんだ。「しんせかい」の時よりさらに、この人のことがおもしろくなってきた。

 

○山下澄人「しんせかい」の書評はこちら

  

2017.10.18 東京、やっと晴れた。でも、明日はまた1日雨らしい。選挙日の天気も心配。読書は宮部みゆき「この世の春 下」、やっと終盤。

 

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