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【書評】町田そのこ「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」-この世界を上手に泳ぐことができない愛しき魚たちの物語!

 第15回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞受賞の「カメルーンの青い魚」を含む全5編の連作短編集。R-18は窪美澄を筆頭に吉川トリコ、宮木あや子、木爾チレンなど現在活躍中の女流作家が受賞しているのでずっと注目している。

 

 さて、町田そのこのデビュー作、どうだろう?と読み始めたのだが、いやいやいや、これは大したものだ。ちょっと驚いた。冒頭を飾るのが受賞作なのだが、この物語、主人公であるサキコの「大きなみたらし団子にかぶりついたら、差し歯がとれた。しかも、二本。」というおかしな独白から始まる。一緒にいた啓太という男に笑われ、写真を撮られ、そこから歯のなくなった「昔の事件」へと戻っていくのだが、その流れがスムーズでなかなか巧い。これはサキコとケンカ好きの放浪者りゅうちゃんとの恋物語だ。歯無しのサキコとりゅうちゃんの久々の対面、啓太という男の存在、さてどうなるかと思っていたら…う〜ん、まいった。これは本当に見事な着地!

 

  そのあとに、表題作「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」「波間に浮かぶイエロー」「溺れるスイミー」「海になる」と続くのだが、登場人物のつながり方がなかなか巧妙で、前の物語の主人公がサラッと出てきたり、ドドドっと出てきたりする。しかも、ミステリーとまではいかないけれど、いろいろと仕掛けがあって「おぉぉ!」と驚かされる。後半3編は書き下ろしなのだが、確実に進化していてすごい。最後の「海になる」の仕掛けも大したものだ。

 

 さて、このタイトル、チョコレートグラミーとかイエローとか、一体なんなのか、と思っていたが、それは物語に登場する魚たちの名前なのだが、この世界をスイスイと泳ぎ回りたいけれど、様々なことに絡め取られて上手に泳げない主人公たちのことでもある。それでも彼や彼女はとてもとても愛おしい。やるな!町田そのこ。次回作にも期待!!!

 

 2018.2.8 もうすぐ93歳の母がA型インフルに。心配。読書は原田マハ「たゆたえども沈まず」。 

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