さて、出た雑誌。「芸術新潮」3月号の特集は「超老力」、横尾忠則と香取慎吾の表紙が印象的です。「大先輩にまなぶ、アートと生きるゴールデンエイジ」という副題でも分かるように美術界に生きる「超老」たちの大特集。表紙の2人の対談をはじめ篠田桃紅さん、安野光雅さんなどなどの生き方に迫っています。モネやマティスなどの「老作」にも注目!これはぜひぜひ読みたいぞ。
出る本が3冊。角田光代の短編集「私はあなたの記憶のなかに」(2/26)は、直木賞受賞前後に発表された8つの短編を集めたもの。角田さんは短編もいいからなぁ。買っちゃいそう。
浅生鴨「伴走者」(3/1)はNHKツイッターの「中の人1号」で話題になった著者の最新小説集。ほぼ日で糸井重里さんがこんな感想を書いています。ちょっと長いけれど引用しますね。
主人公は、視覚に障害のある
元サッカー選手のマラソンランナーと、
アルペンスキーの女子高校生の選手‥‥ではなく、
彼らの目の役割をしながら、いっしょに走る「伴走者」。
選手と走るし、滑るのだから、
その競技種目についての相当の実力がなければならない。
変化する状況を的確に伝え、次の瞬間に備えながら、
少しでも速く、不安を感じさせずに力を発揮してもらう。
そういう役割をするのが「伴走者」です。
「ブラインド」の男子マラソンの選手は、
晴眼の女子マラソン選手ほどの速度で走るそうです。
また、アルペンスキーの選手の滑降速度は、
時速100キロということです。
目からの情報がないままに、それをするということを、
目の見える者はまず想像できません。
徹底的に想像力を鍛えていかないと、
伴走者という仕事はできません。
作者は、この「伴走者」という役割を視点にして、
哲学的でサスペンスにあふれる
事実のような物語を生み出しました。
(すみませんね、つい言い方が大仰になってしまって)
この小説が世に出ることで、いくつかのことが、
大きく変わるのではないかと、ぼくは考えています。
パラリンピックが、障害についての考え方が、
目的や競争という概念が、読者のこころの一部分が‥‥。
ことばが尽きません、27日の発売を、待っててください。
(「ほぼ日刊イトイ新聞」2月1日「今日のダーリン」より)
ううむ、ちょっと気になりますね。浅生さんの長編を読んでみたかったのでこれは楽しみ。前作の感想はこちらを。
人気の西加奈子、短編集「おまじない」(3/1)が出ます。「思いもよらない誰かの一言で、世界は救われる。言葉の力を信じるすべての人へ―西加奈子ワールド全開の「女の子応援」短編集」というアマゾンの紹介に心惹かれます。
◯これまでの「出る本、出た本」はこちらから
2018.2.25 というわけでオリンピックも今日で終わり。最後にカーリング女子の銅メダルが見られてよかった。なんだか五輪バテの感じ。読書は片岡義男「珈琲が呼ぶ」。
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