帯に糸井重里さんが書いている。「こんなに素直にたくさん書いてくれたけど、ゆり子さんのよさを、いちばん知っていないのは、ゆり子さんだという気もするのだ。」、そうなんだよなぁ。あれだけウイットに富んだ驚くほど素敵な文章を書いてるのに、彼女はそのことにも気づいていない。なんだかすごいなぁ。
僕が石田ゆり子の文章に魅せられたのは「ほぼ日」で連載されていた「はなちゃんの夏休み」というエッセイを読んでからだ。「冬休み」「秋休み」なども交えて断続的に4年ほど続いたそれは、愛犬のラブラドール・レトリバーはなちゃんから届くお便りというスタイルで書かれている。平易な言葉での表現は実はかなり難しいのだけど、彼女は本当に楽しそうに愛犬や愛猫の日常を言葉にしている。彼らへの愛もしっかりとプラスして。石田ゆり子すごいぞ、と当時僕はいろんな人に伝えた。あ、今彼女はインスタグラムをやってるけど、そこでの文章もいいのよねぇ。
さて、「Lily-日々のカケラ」、このエッセイを通して感じるのは文章のうまさ云々よりも、そのとても素直な物言いとキチンと自分を持っている地に足がついた生き方だ。たとえば、キョンキョンなんかだと、その言動から「そーゆー人」だというのがとてもよくわかる。でも、石田ゆり子の場合は、なかなかわからない。いやぁ、この人って…。
自分で「書くことが好き」と書いていて、それは文章を読めばすぐにわかるのだけど、彼女は書きながらしっかりと自分の感情を整理し「思想」を育てている。食に関すること、健康に関することなど女性が読んで参考になることも多そうだ。
あとは、写真たっぷりの愛猫「ハニオとタビの成長記録」が楽しすぎるし、ラストの「103のQ&A」もいい。ハニタビシールもついてるぞ。で、これ、20万部突破だって!すごいっ。
◯「はなちゃんの夏休み」シリーズは今も「ほぼ日」で読めます
◯本になった「はなちゃんの夏休み」の感想はこちら
2018.3.1 いいこととガッカリなことが一緒にやってきた春三月。五輪見すぎて確定申告がまだだよぉ。読書はなぜかゆっくり、片岡義男「珈琲が呼ぶ」。
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