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【コミック/感想】谷口ジロー「犬を飼う そして…猫を飼う」-愛犬の死、そして愛猫の出産、その生と死の対比が見事!

 過去に出た「犬を飼うと12の短編」の一部を抜粋し、エッセイを加えて再編集した新装版。元本は読んでいなかったので、これが出たのはとても嬉しく、すぐに買った。

 

 印象に残るのはやはり表題作2つ。「犬を飼う」は14才になり歩くこともおぼつかなくなった愛犬タムの最後の日々を描いたものだ。懐かしい河原にタムと久々にやって来て、子犬だった頃を思い出す冒頭からすでに泣きそうになる。そして、人間の介護のような最後の数ヶ月。発作が出てからもさらにさらに生き続け、ついに迎えたその死。「動物の死は言葉を交えることができないだけに、切なさが胸をうつ。」「生きるということ、死ぬということ、人の死も犬の死も同じだった」、これ以上、付け加える言葉なんてあるだろうか。

 

 「そして…猫を飼う」はタムの死後にもらうことになったペルシャ猫ボロの話。なんと彼女は妊娠していて、来て早々に三匹の仔猫が生まれる。その喧騒の日々!「犬を飼う」との生と死の対比が見事だ。

 

  猫のボロとのその後を描いた「庭のながめ」、夏休みの終わりに家出してきた中1の姪との話「三人の日々」、軍用犬として徴用されたシェパード犬ベルとの再会の物語「百年の系譜」など他の3作も読み応えがあり、2つのエッセイも味がある。動物と暮らすこと、その喜びと悲しみをリアルに描いてこれはまさに谷口ジローらしい作品集だ。しかし、谷口さん…本当に亡くなったんだな。彼の独特の語り口がとてもとても好きだった。

 

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