また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (20195/2週)

 出る本。俳人で文芸評論家、エッセイストでもある千野帽子の新作「物語は人生を救うのか」(5/7)出ます。ちくまプリマー新書から。これ前に同じ新書で出た「人はなぜ物語を求めるのか」の続編です。千野さんのブログからちょっと引用。

 

これ自己啓発本なんですけど、ダメ人間の著者が、自分がついつい忘れがちな大事なことを「自分が忘れないように」書いたという意味で、世界初の「自分啓発本」なんですよ。

 

ううむ、気になる。

 

 そして、村上春樹・柴田元幸「本当の翻訳の話をしよう」(5/9)も出ます。雑誌「MONKEY」などに掲載された対談をまとめたもの。小説と翻訳について2人が熱く語っています。下がその内容。いやぁ、これは買いだなぁ。

 

【CONTENTS】
帰れ、あの翻訳(村上+柴田)
翻訳の不思議(村上+柴田)
日本翻訳史 明治篇(柴田)
小説に大事なのは礼儀正しさ(村上+柴田)
短篇小説のつくり方(村上+柴田)
共同体から受け継ぐナラティブ——『チャイナ・メン』(村上+柴田)
饒舌と自虐の極北へ——『素晴らしいアメリカ野球』(村上+柴田)
翻訳講座 本当の翻訳の話をしよう(村上+柴田)

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【広告関連】【追悼】感謝!僕はずっとモンキー・パンチさんの「ルパン三世」の帯コピーを書いていた

 この記事、もう少し早くアップしたかったのですが、すっかり遅くなってしまったなぁ。

 

 4月11日に漫画家のモンキー・パンチさんが亡くなりました。81歳でした。僕はずっと双葉社のコミック関連の仕事をしていて、双葉社コミック文庫は立ち上げのコピーから関わり、その後、ずっと帯のコピーを書いていました。「ルパン三世」「クレヨンしんちゃん」「じゃりン子チエ」「鎌倉ものがたり」「レモンハート」などなど、いったい何冊の帯コピーを書いたことか。

 

 実は僕、この仕事をするまではそれほどコミックを読んでいません。読まないと書けない仕事なので、始まってからはけっこうな量を熟読しました。その中でも印象的なのがモンキー・パンチさんの「ルパン三世」でした。もちろん名前は知っていたのですが、これもまた未読で、勝手に軽薄なイメージを持っていました(すみません、すみません!)。で、読んでみたら、

 

 いやぁ、これはとにかく構成が見事で驚きました。本当によく出来ていて、登場人物のキャラも立っている。絵もスタイリッシュでカッコよかったです。世評はすでに高く、何言ってんだ!、って感じですけどね。とにもかくにも、読むのも楽しく、コピーを考えるのもとても楽しい仕事だったことを覚えています。幸運にも文庫本を手元に残してあったので、いくつか写真で紹介しますね。

 

こちらがオリジナルのシリーズ。四文字言葉をもじったコピーを考えました。

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新ルパン三世シリーズも同じスタイルで。

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モンキー・パンチさんの原作で絵は山上正月さんが描いたルパン三世Yというシリーズではコミックのセリフを活かしたコピーを。

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【絵本】たにかわしゅんたろう ぶん Noritake え「へいわとせんそう」-もうこれは読むしかないっ!!

 表紙のシンプルさ。谷川さんの名前もひらがなになり、Noritakeさんの顔の絵だけがある。すべてのページがこの表紙と同様にシンプルで静謐で、しかも力強い。

 

 最初の見開き。左ページに「へいわのボク」、右ページに「せんそうのボク」、さて、どんな絵を思い浮かべる??

 

「へいわのワタシ」と「せんそうのワタシ」は?

 

「へいわのチチ」「せんそうのチチ」
「へいわのハハ」「せんそうのハハ」

「へいわのかぞく」「せんそうのかぞく」

 

「へいわのどうぐ」「せんそうのどうぐ」はどうだろう?

「へいわのぎょうれつ」「せんそうのぎょうれつ」は思い浮かぶだろうか?

 

「へいわのき」「せんそうのき」

「へいわのうみ」「せんそうのうみ」

 

「へいわのまち」「せんそうのまち」は?

シンプルで力強い表現が続く。

 

「へいわのよる」「せんそうのよる」はすごいぞ。

「へいわのくも」「せんそうのくも」はさらに強い。

 

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【コミック】第23回手塚治虫文化賞、マンガ大賞は有間しのぶさんの「その女、ジルバ」に決定しました

 ちょっと掲載が遅くなりましたが、手塚治虫文化賞、発表になりました。大賞は有間しのぶさんの「その女、ジルバ」。ううむ、これはまったく予想してなかったなぁ。完結した「海街diary」が取るのではないかと勝手に思っていました。

 

 朝日新聞の記事によると「今年はものすごく水準が高い」と選考委員が口を揃えたそうですが、「その女、ジルバ」は

 

「女性の日常をベースに、日本の戦後七十余年を総括する壮大な物語」(桜庭)と、多くの支持を集めた。

 

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【猫本】村山由佳「猫がいなけりゃ息もできない」-愛猫もみじとの最後の日々、僕はこんな別れに耐えられるのかな?

 なぜか猫本ブーム。これは、作家の村山由佳さんと愛猫もみじの物語。う〜ん、なんだかやたらと泣けた。こんなに泣くとは思っていなかった。本には写真も収録されているが、もみじという猫は凛々しく美しくかわいい。とはいえ彼女、17歳の三毛猫、5匹いる村山家の猫の最長老だ。まぁ猫だって犬だって人間だって?かわいいものは幾つになってもかわいい。村山さんにとってもみじは、産まれた時に自分で取り上げ、それからズッと一緒。すでに離れがたい存在なのだ。

 

 さすが、と思うのはこういう愛猫エッセイを書いても、村山由佳は細部の描写がリアルで細やか。この細やかさと素直な感情表現がエッセイ全体を支えている。

 

 2017年の6月。もみじに癌が見つかる。口の中の扁平上皮癌。平均余命3ヵ月?これは愛する猫が亡くなるまでの物語でもある。旦那さん1号、2号、今の同居人である「背の君」とのこと、もみじとのこれまでのいろいろを交えながら話は進んでいく。3章の「見送る覚悟」、4章の「いつか、同じ場所へ」では、まさにもみじとの最後の日々が綴られていて、読んでいるこちらも村山さんや周囲の人々同様、胸苦しくなってくる。本当に辛いのだ。

 

 同時に村山さんのもみじへの愛、もみじの村山さんへの思いがしっかりと伝わってきて、たまらない。時々、擬人化されるもみじは関西弁でつぶやく。これがまた何だかピッタリでグッとくる。

 

皆さん、お見舞いたくさん、おおきに。

うちな、いま、ゆっくりゆっくり、船出のしたくしてまんの。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (20194/4週)

 出た本。野木亜紀子「獣になれない私たちシナリオブック」出ました。ドラマ、おもしろかったなぁ。けっこう気になるフレーズがあったからチェックしたいぞ。うむ。

 

 出る本。山極寿一、小川洋子「ゴリラの森、言葉の海」(4/25)出ます。内容はアマゾンの紹介から。

 

ゴリラを知ることはヒトが自ら何者かを知ること――物語の森に住む小説家と野生の眼を持つ霊長類学者。京大の研究室や屋久島の原生林の中での二人の対話から、ゴリラとヒトが紡ぐ物語が鮮やかに浮かび上がる。現代を生きるヒトの本性をめぐる、発見に満ちた知のフィールドワーク。

 

 小川さんは動物に対する造詣も深いからなぁ。これはかなりおもしろ対談になっているような気がします。期待!!!わっ、表紙がいい!!!

 

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【文学賞】第32回 三島由紀夫賞、山本周五郎賞のノミネート作品が発表されました

 さてさて、この時期恒例の三島賞、山本賞のノミネート作品の発表がありました。まずは三島由紀夫賞のノミネート5作です。

 

◯倉数茂「名もなき王国」

◯三国美代子「いかれころ」

 

 

◯岸政彦「図書室」

 

◯金子薫「壺中に天あり獣あり」

◯宮下遼「青痣」

 

 

 未刊行が3冊あります。ううむ、岸さん、金子薫さんは少しは分かるけれど。これはどれが選ばれるのかまったく予想がつきません。三島賞は「文学の前途を拓く新鋭の作品」と定義されています。

では、山本周五郎賞のノミネート5作です。

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【BOOK NEWS】ついに発売日決定!小野不由美の大傑作「十二国記」新刊、10月、11月2ヵ月連続刊行!!

 おぉぉぉぉ!小野不由美の最高傑作「十二国記」シリーズの新作長編、ついに発売日が決まりました。昨年末に400字×約2500枚という超大作の第一稿がアップしたというニュースはお知らせしましたが、ついに正式決定です。新潮社のFacebookでのお知らせをご覧ください。

 

 

 新潮文庫で10月12日に1、2巻、そして11月9日に3、4巻が発売になります。いやいやいや、いったい何年待ったんだ?ううううむ、今から興奮する。「十二国記」については前のお知らせの時に熱く語っちゃったので、まずはそちらをお読みください。

 

 

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【映像化】塩田武士「罪の声」映画化決定!野木亜紀子脚本、小栗旬×星野源主演。これは楽しみだぁ!

 第7回山田風太郎賞を受賞し、2016年の週刊文春ミステリーベスト10でも国内部門1位に輝いた塩田武士の「罪の声」の映画化が決定しました。おぉ、これはうれしいぞ。しかも、脚本が「逃げ恥」などの野木亜紀子!!野木さんはNHKの「フェイクニュース」でも切れ味鋭く今の時代を描いていたので、こういうテーマも得意なはず。とても楽しみです。

 

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【猫本】「もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた」-作家がいる、猫がいる、それだけの幸せ

 副題に「NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。」とある。これはEテレで放送された「ネコメンタリー」という番組の内容を一冊にまとめた本だ。角田光代、吉田修一、村山由佳、柚月裕子、保坂和志、そして、養老孟司。そうそうたるメンバーの作家たちと愛猫たちの物語。テレビでは、作家と猫の日常がちょっとクールな感じで描かれていて、僕は好きだった。

 

 本書ではその内容を活字化、猫たちの写真や作家たちの番組書き下ろし短編も収録されているが、映像と活字ではやはり手触りが違うので、まったく違うものとして楽しむことができる。とにもかくにも、猫たちの写真をじっくりと見られるのがうれしい。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (20194/3週)

 出た本。わっ、これはいの一番に伝えるべきなのに忘れてた。直木賞と本屋大賞をW受賞した恩田陸の傑作「蜜蜂と遠雷」が文庫になりました。上下2冊です。この小説がすごいのは、作者が「ピアノの演奏の活字化」にあらゆる手段を使って挑戦していること。それが功を奏してすごい音楽小説になっています。これはぜひぜひ読んで欲しいなぁ。僕の書評も読んでみてください。

 

  

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【書評】ピーター・スワンソン「そしてミランダを殺す」-この展開はすごい!でも一番心惹かれるのは主人公の造形だ

 昨年のミステリーでは「カササギ殺人事件」とこの小説がランキングの上位を占めていた。どちらかを読みたいと思っていたが、結局、手に取ったのはこちら。なぜなら批評の中にパトリシア・ハイスミスの名前がチラチラと出ていたから。特にミステリー好きではないけれど、彼女の小説は好き。この物語は少しハイスミスの味がする。

 

 3部構成だ。語りは一人称で第1部ではテッドという男とリリーという女が交互に語っている。あぁ、この2人の物語なんだ、とまずは思った。空港のバーで出会った2人は意気投合し、いつの間にかよからぬ相談までし始める。第2部、冒頭であわわわわわわっ、という事実が分かってドギマギする。もう一度、1部に戻っていろいろ確認。この2部、語り手はリリーとタイトルにもなっているミランダ。テッドはどうした?と思っているうちに、2部のラストでまたまた、あわわわわわっ、が起こって再度ドギマギする。思わぬ展開。

 

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【広告コンペ】文化放送ラジオCMコンテストの取材記事がアップされました。読んでみてください!

 さて、文化放送ラジオCMコンテストグランプリのあとはあまり報告することもない私でしたが、先日ちょっといいことがありました。またまたグランプリの件で取材を受け、さらに、若きコピーフレンドの皆さんからグランプリのお祝いまでしてもらったのです。あ〜うれしかった。取材記事はこちらのnoteから読むことができます。

 

 上下2回に分かれていますが、上はまさに文化放送ラジオCMコンテストグランプリのこと。私、文化は古いのよ。


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【文学賞】2019年本屋大賞が決まりました!!!

 今年の本屋大賞は瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された 」に決定しました。パチパチパチ!そうかぁ、こっちか。木皿泉の「さざなみのよる 」がイチオシだったのだけど。ううむ、これは未読。読もうと思ったのだけど結局読んでない。でも、瀬尾さんよかったです。Amazonの内容紹介文の引用しておきます。

 

森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。この著者にしか描けない優しい物語。 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作

 

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (20194/2週)

 出た本。松井玲奈「カモフラージュ」。書評家の大森望氏が「カモフラージュ」収録の「拭っても、拭っても」という小説を読んでこんなツイートを残している。

 

「拭っても、拭っても」を読んで、てっきり押切もえ路線で行くのかと思ってたのにぜんぜん違った。松井玲奈畏るべし。ぜんぜんまったく「アイドルの小説」ではありません。

 

 同じく「カモフラージュ」に入っている「ジャム」を読んだ感想。

 

遅ればせながら松井玲奈「ジャム」(小説すばる2月号)を読んだら、お父さんがいきなり4人に増えて帰宅する話で仰天。ラファティ「町かどの穴」かと思いました! すごいな、こんなの書くんだ。集英社の短篇が終わったらぜひ『NOVA』に書いてほしい! という原稿をいまさっきEXwebに書きました。

 

 「カモフラージュ」の帯には作家の島本理生と森見登美彦のコメントが。

 

油断していると、次々予想を裏切るメニューが出てくるような短編集。
――島本理生(作家)
明太子スパゲティをこのうえなくおいしそうに書ける人。信頼せざるを得ないのである。
――森見登美彦(作家) 

 

 というわけで、松井玲奈はあなどれない。これはもう読むしかないじゃないか!

 
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