また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2019.6/4週)

 出る本。小川洋子・堀江敏幸「あとは切手を、一枚貼るだけ」(6/19)出ます。これ、情報が少ないのでよく分かりませんが、アマゾンの紹介を読むととても気になる内容。なんてったって、小川洋子×堀江敏幸ですからね。期待度大!

 

きみはなぜ、まぶたを閉じて生きると決めたの――

かつて愛し合い、今は離ればなれに生きる「私」と「ぼく」。
二人を隔てた、取りかえしのつかない出来事とは。
消えた産着、優しいじゃんけん、湖上の会話……
十四通の手紙に編み込まれた哀しい秘密に
どこであなたは気づくでしょうか。
小川洋子と堀江敏幸が仕掛ける、胸を震わす物語。

 

 ヨシタケシンスケ「ころべばいいのに」(6/19)も出ます。「りんごかもしれない」「ぼくのニセモノをつくるには」「このあとどうしちゃおう」に続く、ブロンズ新社の発想絵本シリーズ第4弾!いやぁ、このタイトルいいなぁ。テーマは「イヤな気持ち」のようですよ。もちろん読む!

 

◯プロモーションビデオもできました!

 

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【文学賞】第161回芥川賞・直木賞(令和元年上半期)候補作、発表!直木賞は候補者全員が女性!さて選ばれるのは?

 発表されましたね、今年上半期の芥川賞、直木賞候補作。早速、芥川賞から。おっ、またまた古市さん!!

 

【芥川賞候補】

 

◯今村夏子「むらさきのスカートの女」(小説トリッパー春号)

◯高山羽根子「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」(すばる5月号)

◯古市憲寿「百の夜は跳ねて」(新潮6月号)

◯古川真人「ラッコの家」(文学界1月号)

 

 発売されているのは今村さんの作品のみ。古市さんの小説は6月27日発売予定です。彼と高山さんは連続ノミネート!古市さん、前作は読まなかったけれど、どうなのかな?今村さんと古川さんは3回目のノミネート。李さんは台湾生まれで日本在住、初めての候補です。ううむ、今村、高山のW受賞????

 

  直木賞候補は6作で、全員女性というのがすでに話題にもなっています。まぁ、おもしろい物語は今、女性が書いているってことです。男性の皆さんも彼女たちの小説をもっと読んだ方がいいぞ。

 

【直木賞候補】

 

◯朝倉かすみ「平場の月」

◯大島真寿美「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」

◯窪美澄「トリニティ」

 
◯澤田瞳子「落花」
◯原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー」

◯柚木麻子「マジカルグランマ」

 朝倉さんの「平場の月」は山本周五郎賞受賞作。澤田さんは時代小説の新鋭ですが、大島さんの候補作も彼女にとっては初めての時代小説、これはちょっと気になります。柚木さんはノミネート5回目、ううむ。とはいえ、僕にとっては前回もノミネートされた窪美澄さんとアート小説では敵なしの原田マハさん、全作読んでいる2人をやっぱり応援したい。特に窪さんの「トリニティ」はいま読んでるところでイチ推し!選考会は7月17日に行われます。

 

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【書評】木皿泉「カゲロボ」-監視ロボット、カゲロボ!きみのそばにもいるかもしれない

 木皿泉待望の新作。ドラマもいいけれど小説もいい。「カゲロボ」は、「はだ」「あし」「めぇ」「こえ」「ゆび」「かお」「あせ」「かげ」「きず」、どれも身体に関連しているタイトルがついた9つの物語。それぞれの登場人物は時々繋がったりもしている。冒頭の「はだ」にメインタイトルになっているカゲロボが登場する。それは、ネットで検索をかけても絶対に出てこないヒミツの監視ロボット。常に虐待やいじめがないかを見張っているらしい。他の話にもカゲロボという名前ではないが、同じ役割を持ったロボットたちが登場する。

 

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【広告関連】Ontenna、ついに発売へ!「Ontenna展-感じること、それが未来。」も始まります。コピー書きました

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 え〜っと、あまり自分の仕事のことはブログでは書かないのですが、ずっと関わってきた Ontenna(オンテナ)がやっと発売等決まって、今日からイベントも開催されるのでちょっと興奮気味にMacに向かっています。

 

 Ontenna は耳の悪い人たちのために開発された、音をからだで感じるユーザインタフェースです。写真の女の子のように髪の毛に付けたり、男の子のようにえり元やそで口などに付けることで、振動と光によって音の特徴をからだで感じることができます。特に、あまり聞こえない子供たちにとって、音を「感じること」ができるのは大きな喜びであるはずです。

 

 同時に Ontenna は、健聴者とろう者が共に楽しむことができるインタフェースでもあります。スポーツや音楽などで周りの人と感動を共有できることもまた、彼らにとってはすごくうれしいことなのです。そこには確かに「つながる喜び」があります。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2019.6/3週)

 出る本。文庫化です。宮部みゆき「三鬼 三島屋変調百物語四之続」(6/14)出ます。シリーズの第四弾、これはもう安定のおもしろさ。表題作の「三鬼」、印象に残ってるなぁ。まぁ4巻目からでも読めますが、未読の人は1巻目「おそろし」からぜひ!あと、これ単行本は日本経済新聞出版社で文庫はずっと角川から出てるのですが、文庫の表紙がどれもツマラナイ。なんとかしろよ、角川!

 

◯「三鬼 三島屋変調百物語四之続」の書評はこちら


 書評家の瀧井朝世さんが選んだ恋愛小説傑作アンソロジー「運命の恋」(6/14)、文庫で出ます。選ばれたのは村上春樹、角田光代、山白朝子、中島京子、池上永一、唯川恵の6人の短編。山白朝子って乙一の別名ですね。で、何が選ばれてるのか、タイトルはちょっと分かりません。これは気になるところ。

 

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【絵本/感想】トーベン・クールマン「エジソン ネズミの海底大冒険」-今度は海底への旅!子供たちが大好きな冒険物語

 トーベン・クールマンのネズミの冒険シリーズの最新作!「リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険」「アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険」に続く第3弾だ。この表紙でも分かると思うがクールマンはとにかく絵が素晴らしい。オリジナルなスタイルだし、細部までしっかり描かれていていろいろと発見もあるので、見ているだけで楽しくなって来るのだ。

 

 最初の見開き、本屋の店の中を描いた1枚からクールマン・ワールドに引き込まれていく。本棚に隙間なく並べられた本、店主と話をする本を持った少年、窓の外には車の列。そして、店のそこここに隠れているネズミたち。実はこの本屋のネズミ穴の奥に彼らの大学があるのだ。主人公の若いネズミ、ピートと教授はそこで出会い、海底に沈んだと言われているピートの先祖のお宝探しに出かけることになる。

 

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【絵本/展覧会】いやいやいや、これは必見!ちひろ美術館・東京の「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」、見に行きました

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 自転車で上井草駅の近くのちひろ美術館・東京へ。自宅から20分ぐらい。大好きな絵本作家ショーン・タンの展覧会が開かれているのだ。こういうイベントを企画してくれた美術館に本当に感謝!彼の作風やその世界はいわさきちひろさんも絶対に気に入ったはずだ。

 

 ショーン・タンの絵本はこのブログでもほとんどの作品を紹介しているが、まさにオリジナルな世界だ。その世界に接しているうちに読んでいる人間もまた知らない場所に連れていかれる。「どこでもないどこかへ」という副題のように。

 

 この展覧会、何といっても原画が見られるのがうれしい。初めて絵と文を書いた「ロスト・シング」から、世界中で絶賛を浴びた文字のない絵本「アライバル」、最新作で日本未発売の「内なる町からきた話」まで、多くの作品の原画が展示されている。最新作の原画は油彩でしかも100×150cmという大きさ!もうこれはアートです。さらに、デッサンやアイデアスケッチ、コンテなど出来上がるまでのプロセスもたくさん見ることができる。ショーン・タン、巧いなぁ。巧いだけではなく、表現へのこだわりがすごい。やはりこの人も天才なんかじゃない。まさに努力の人!

 

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