また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

■あ行の作家

【書評】小川洋子「いつも彼らはどこかに」-動物たちの物語?いや、これはまぎれもなく人間の物語だ

いつも彼らはどこかに posted with ヨメレバ 小川洋子(小説家) 新潮社 2013年05月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 事前に読んだ内容紹介で動物たちの物語、と書かれていたので、そのつもりで読み始めたら全然違っていた。というか、この8…

【書評】いとうせいこう「想像ラジオ」-ここには3.11を巡るすべての思いがある

想像ラジオ posted with ヨメレバ いとうせいこう 河出書房新社 2013年03月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「こんばんは。あるいはおはよう。もしくはこんにちは。想像ラジオです。」という第一声から心を奪われる。リスナーの想像力の中で…

【書評】小川洋子「ことり」-作者らしさに溢れる静謐で美しい物語

ことり posted with ヨメレバ 小川洋子(小説家) 朝日新聞出版 2012年11月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 小川洋子ワールドは常に静謐で少しヴェールに被われ、なんだか不思議だ。この「ことり」も確かにそうだが、「小鳥の小父さん」と呼…

【書評】朝井リョウ「何者」-就活の渦中にいる者たちの生きていく姿!これは青春小説の傑作だ

何者 posted with ヨメレバ 朝井リョウ 新潮社 2012年11月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す ちょうど直木賞受賞発表の日に読み終わった。まずはテーマそのものをひと言で言い切ったタイトルが素晴らしい。これはタイトル勝ち!周囲の評判も良…

【書評】小川洋子「最果てアーケード」-色濃い死の気配、深い少女の孤独、曖昧となる生と死の境界線

最果てアーケード posted with ヨメレバ 小川洋子(小説家) 講談社 2012年06月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「博士の愛した数式」「猫を抱いて象と泳ぐ」「人質の朗読会」など独自の世界を創り出している作家・小川洋子。最新の「最果て…

【BOOK NEWS】小野不由美、ホラー2冊7月発売!!!

「十二国記」の新潮文庫化&新刊発売のニュースは小野不由美ファンを大いに喜ばせましたが、さらに、7月にホラーの書き下し新作が!小野さんのホラーと言えば「屍鬼」だなぁ。あれは恐怖を丸ごと描いていてスゴかった。 7月20日に新潮社から出るのは「残穢…

【書評】朝井リョウ「少女は卒業しない」-ストレートに胸を打つ女子高生の物語

少女は卒業しない posted with ヨメレバ 朝井リョウ 集英社 2012年03月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 20代の男性作家で青春をきちんと書ける人ってそれほどいないのではないか。朝井リョウは現代の青春小説の書き手としてとてもとても輝い…

【BOOK NEWS】小野不由美「十二国記」いよいよ再始動!

もう待っているのを忘れちゃうぐらい待ちぼうけ食らっちゃってた小野不由美の大傑作ファンタジー「十二国記」。この7月からついに再始動するようです。ファンは当然、最新作を待っているわけですがそれはまだちょっと先。7月に出るのは原点ともいえる「魔…

【書評】朝井リョウ「もういちど生まれる」-子どもと大人の境界線にいる若者たちの揺れ動く心情を描いた連作短編集

もういちど生まれる posted with ヨメレバ 朝井リョウ 幻冬舎 2011年12月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す これはいいぞ、かなり好きだ。「桐島、部活やめるってよ」でデビューした朝井リョウの4作目。今回は5編を集めた連作短編集だ。各編…

【書評】伊集院静「星月夜」-作者初の推理小説!描かれたのは愛する者を失った被害者家族の慟哭

星月夜 posted with ヨメレバ 伊集院 静 文藝春秋 2011年12月12日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 物語は2人の人間の失踪から始まる。東北から東京に出たまま行方の知れない娘佐藤可菜子、一方、出雲では鍛冶職人の老人佐田木泰治が突然姿を…

【BOOK NEWS】伊集院静「いねむり先生」がコミックに

グランドジャンプPREMIUM (プレミアム) Vol.2 2012年 2/29号 [雑誌]集英社 2012-01-20売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools この頃、映画化やドラマ化、コミック化の話が多いなぁ。僕の昨年度のベスト1「いねむり先生」も「月下の棋士」など…

【映像化】朝井リョウの「桐島、部活やめるってよ」も映画化!

先日は「ふがいない僕は空を見た」の映画化決定で、おおおっと喜んだが今度は朝井リョウのデビュー作「桐島、部活やめるってよ」映画化のニュースが。監督は「パーマネント野ばら」などの吉田大八監督。主演の前田には神木隆之介が。共演は橋本愛、大後寿々…

【書評】朝井リョウ「星やどりの声」-生まれ変わる家族を描いて見事な物語

星やどりの声 posted with ヨメレバ 朝井リョウ 角川書店 2011年10月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す デビュー3作目だが朝井リョウは初々しい。何と言えばいいのだろう、作者自身の向日性、スクっと立っている感じが作品自体にも感じられて…

【書評】絲山秋子「不愉快な本の続編」-またまたラストがとんでもない!

不愉快な本の続編 posted with ヨメレバ 絲山秋子 新潮社 2011年09月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す いやぁ、絲山秋子、スゴいなぁ。いったいどこに行こうとしてるのだろう、この人。冒険する作家というか挑戦する作家というか。皆さん、当…

【書評】伊集院静「いねむり先生」-色川武大を描いて、これは年間ベストを争うであろう傑作!

いねむり先生 posted with ヨメレバ 伊集院静 集英社 2011年04月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す これは今年読んだ新刊の中ではベスト、おそらく年間のベストを争うことになる傑作だ。「いねむり先生」とはあの色川武大(阿佐田哲也)のこと…

【エッセイ/感想】糸井重里「ブイヨンの日々。」-これを読んだらさらにさらに犬を飼いたくなってしまう

ブイヨンの日々。 posted with ヨメレバ 糸井重里 ほぼ日 2011年04月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「ブイヨンの気持ち。」に続く糸井重里の愛犬シリーズ第二弾が出た。主人公のブイヨンは7歳になるジャックラッセルテリア(女の子)。こ…

【書評】絲山秋子「末裔」-命の連なりとその末端にいる自分を考えてしまう不思議な物語

末裔 posted with ヨメレバ 絲山秋子 講談社 2011年02月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 不思議な魅力にあふれた物語だ。絲山秋子の小説はそう感じるものが多いのだがこの「末裔」は特に魅力的だ。まずは冒頭、主人公である省三の自宅玄関の…

【書評】奥泉光「シューマンの指」-衝撃のラスト!しかしこれは成功なのか?

シューマンの指 posted with ヨメレバ 奥泉 光 講談社 2010年07月23日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 最初に一通の手紙とひとつの噂と共に、ある謎が読者に提示される。高校時代に指を失った早熟の天才ピアニストが海外でコンサートを開いて…

【書評】小川洋子「人質の朗読会」-深く心の奥底にまで届く8つの物語

人質の朗読会 posted with ヨメレバ 小川洋子(小説家) 中央公論新社 2011年02月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 第一夜から第八夜まで、ここに書かれた8つの物語は、タイトルの通り、ゲリラに捕まった人質たちが、地球の裏側にある土地で…

【書評】小川糸「喋々喃々」-夢見る乙女があこがれるプチ不倫の物語?

喋々喃々 posted with ヨメレバ 小川糸 ポプラ社 2009年02月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す この本はタイトルに惹かれて読んだ。「喋々喃々(ちょうちょうなんなん)」というのは「男女がうちとけて小声で楽しげに語り合う様子」なのだそう…

【書評】朝井リョウ「チア男子!!」-チアを通して、彼らは次の高みをめざす

チア男子!! posted with ヨメレバ 朝井リョウ 集英社 2010年10月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウのデビュー2作目。最後まで読んでやはり彼は力のある作家だと確信した。はっきり言って、前半は感…

【書評】絲山秋子「イッツ・オンリー・トーク」-ここから絲山秋子が始まった!そんな思いを強くする傑作

イッツ・オンリー・トーク posted with ヨメレバ 絲山 秋子 文藝春秋 2006年05月10日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 女性では宮部みゆき、川上弘美、佐藤多佳子などが好きな小説家だが、絲山秋子はなんだか特別な存在、という気がしている。…

【書評】伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」-主人公・青柳は「オズワルドにされかけた男」!

ゴールデンスランバー posted with ヨメレバ 伊坂幸太郎 新潮社 2010年12月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 2008年度の本屋大賞、山本周五郎賞を受賞し、2009年度版「このミステリーがすごい」でも国内1位を獲得、映画化にもなった伊坂幸太…

【書評】絲山秋子「妻の超然」-三話三様の超然がたまらなくおもしろい

妻の超然 posted with ヨメレバ 絲山秋子 新潮社 2010年09月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す いやいやいや、絲山秋子は大好きな作家だが、この新作はまたまたおもしろい。まずは「超然」ありき。それをキーワードにして作られた3つの短編、…

【書評】あさのあつこの「火群のごとく」-これはまさに青春時代小説の傑作!

< 火群のごとく posted with ヨメレバ あさの あつこ 文藝春秋 2010年05月17日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「火群(ほむら)のごとく」は間違いなく青春時代小説の傑作だ。舞台は自然が豊かな小国、小舞藩。そこに3人の少年がいる。剣に…

【書評】絲山秋子の「スモールトーク」-くされ縁みたいな男と女のやりとりが何ともおもしろい

スモールトーク posted with ヨメレバ 絲山 秋子 KADOKAWA 2008年02月23日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 自慢じゃないが免許は持っていない。車に興味がないのって何だかちょっと男としては欠陥があるみたいな感じもするのだが、どうだろう…

【書評】小川洋子「原稿零枚日記」-すべてが虚なのではない。実の中に虚がある

原稿零枚日記 posted with ヨメレバ 小川洋子 集英社 2010年08月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 小川洋子の最新刊は、原稿を書くのがなかなか進まない小説家の日記という形で書かれた長編小説だ。その女流小説家は、取材旅行の帰りに苔料理…

【書評】上橋菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那」-自らの運命にあらがいながら生きてきた2人の女性の物語

< 獣の奏者 外伝 刹那 posted with ヨメレバ 上橋 菜穂子 講談社 2010年09月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す あの名作「獣の奏者」の外伝である。主人公エリンの少女時代の1、2巻、母となってからの3、4巻、外伝のメインとなる2つの物語…

【書評】絲山秋子「ダーティ・ワーク」-「ばかもの」を思い出させるラスト、ほのかに見える希望が素晴らしい

ダーティ・ワーク posted with ヨメレバ 絲山秋子 集英社 2010年05月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 絲山秋子はやっぱり巧い。「ダーティ・ワーク」は全7編からなる連作短編集。といっても、実際に連作だと気がつくのは何編か読んでからだ…

【書評】上橋菜穂子「獣の奏者3・4」-人間の愚かさを描きながらも、これはやはり希望の物語

獣の奏者 (3)探求編 posted with ヨメレバ 上橋 菜穂子 講談社 2009年08月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 獣の奏者 (4)完結編 posted with ヨメレバ 上橋 菜穂子 講談社 2009年08月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「獣…