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【書評】川上弘美「これでよろしくて?」-人間関係の中で感じる「小さな戸惑い」、それって全然OKなのよ

昨秋出た本なのですが、なんだか軽い感じなのでスルーしちゃった人も多いかもしれませんね。でもこの川上弘美の小説、意外や意外の大傑作。いやぁ~驚いた。小説にも気配というものがあるので、タイトルとかもろもろでお~これは傑作かも、って大体わかる。でもこれはねぇ、「傑作臭」?がまったくしないんです。ところが、ところが…。

 

この小説、どう表現しようかと迷ってたら帯のコピーがなかなかいい。「夫婦、嫁姑、親子、同僚…人とのかかわりに小さな戸惑いを覚える貴女に!」、そうそうそういうことよ。この小説の主人公の菜月も、夫の光や義母の「ママン」、昔の恋人や会社の同僚たちとの間でいろんなことが起こり、いろんな言葉を発し、いろんなメにあってきている。そんな中で感じる「小さな戸惑い」、それって自分だけのこと?、って考える人も多いはず。でも、そんなことはないんだよ、あんたは特別でも何でもないよ、とこの小説に出てくる「これでよろしくて? 同好会」のくえない女たちは教えてくれる。そして、何だかんだ言ってないで、今を生きよ!とも。貴女はもちろん貴男にもぜひ。

 

 ○「これでよろしくて?」は2012年10月、中公文庫で文庫化されました。

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