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【書評】森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」-ここまで大風呂敷 を広げられるのはまさに才能だ!

「大学読書人大賞」っていうのがよく分からなくてそのままにしてたのですが、そうかぁ、大学の文芸部の部員が選んだ「大学生に読んで欲しい本」なのね。公開討論で決めるっていうのもなかなかおもしろい。ホームページもちゃんとありました。ここです。では、僕の感想を!!

 

最初は???、でも、しだいにしだいに盛り上がり…。

 全四章のこの小説、一章を読み始めたら文法的にもヘンな言い回しが少々あり、え~なんでこれが山本周五郎賞?って絶望したのだが、いやいやいや、二章からグイグイと盛り返して、最終的にはかなりおもしろく読めた。う~む、なかなかいいんじゃないの!でも、こういうファンタジー小説、よく山本周五郎賞に選んだな。お~本屋大賞でも2位になっていたのか。そして、今回は「大学読書人大賞」。これはけっこうわかりやすいが。

 

 さて、この小説、京都を舞台にした恋愛ファンタジー、なんて言えば手っ取り早いが、それだけではちょっとすまない。作者がこの物語を通して描く恋や街や人々のイメージはかなりポップで、ここまで大風呂敷を広げられるのはまさに才能だ。学園祭の大騒動は神出鬼没の「韋駄天こたつ」だとかゲリラ演劇「偏屈王」だとか、ヘンなヤツらの登場でやたらと盛り上がるし、京都の冬を急襲した恐ろしい風邪、そして風邪の神様が巻き起こす巨大な竜巻と大団円もかなりのもの。はてさて、可憐な乙女と先輩の恋はどんな結末を迎えるのか?独特の語り口が魅力なので映像化を疑問視する声もあるが、僕はこれ映像にすると楽しいと思う。映画やドラマでぜひぜひ見てみたい。

 

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